「消火水が基地外に流出」と米軍報告書 嘉手納基地の火災後に調査


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昨年発生した米軍嘉手納基地での火災の様子=2020年6月22日(ジャン松元撮影)

 米軍嘉手納基地の危険物取り扱い施設での火災について、米軍の報告書は消火で生じた汚染水が基地外の海に流れ出たことを記録している。事故から約1カ月後に米軍が実施した調査で、酸性かアルカリ性の度合いを示す水素イオン指数(pH)が環境省の定める一般排水基準の「許容限度」を超えていた。一方、有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)は調査項目に入っていない。

 報告書によると、消火で大量の水を使い、汚染水が排水路を通じて東シナ海へ流れ込んだ。米軍は火災から約1週間後と約1カ月後に調査している。

 環境省の基準で海に排水する際は水素イオン指数を5~9に保つ必要がある。在日米軍が環境管理のために作成する「日本環境管理基準(JEGS)」も海に排出する場合は6~9を維持すると定めている。一方、米軍の1カ月後の調査結果では9.3と基準を超え、アルカリ性になっていた。

 調査はPFASなどは対象としておらず、塩素が基地内に残留していないかを確かめる目的だったとみられる。水素イオン指数の他は基準を外れていない。

 田代豊名桜大教授は「基地外に流出した汚染を調べるつもりはなく、基地内に汚染が残っていないことを確かめたかったのだろう」と指摘した。