【記者解説】嘉手納爆音の原告3万人超は住民怒りの表れ 40年で50倍に


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常駐機に加え、外来機の飛来も相次ぐ米軍嘉手納基地。3万人を超える周辺住民が訴訟に参加し、米軍機の夜間、早朝の飛行差し止めなどを求める=13日、嘉手納町

 国内最大規模の3万人超が原告数となる背景には、形骸化した騒音規制措置や、米軍の基地内活動は日本法令の適用外との見解を示す国と司法への住民の怒りの表れと言える。601人から始まった1982年の提訴時から、約40年で50倍の規模となった。県民の約48人に1人の割合となる。

 米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めなどを求める運動の認知度の向上も、原告の増加につながった。さらに若者の参加者も増加傾向にある。弁護団によると、騒音被害を知らずに対象地域内の新興住宅地などに移り住んだ若い世代が騒音のひどさに怒り、原告が増えているという。

 日米が合意した騒音規制措置で、米軍は午後10時以降の夜間飛行や活動を控えることになっているが、現状は守られていない。8月には4日連続の訓練が実施され、9月には午前1時の飛来も確認されている。

 2017年、当時在沖米軍トップだったローレンス・ニコルソン四軍調整官が「操縦士は一定の飛行時間をこなさなければならず、その中には夜間飛行もある」と述べるなど、住民生活を脅かしているという認識は薄い。

 3次訴訟の原告団長で4次訴訟準備会の新川秀清会長は「ゆりかご以前の母親の胎内から墓場まで、われわれは爆音にさらされ続けるのか」と嘆く。その嘆きは限界を超えた原告団の怒りそのもので、3万人余という数字に表れている。
 (新垣若菜)