衆院解散で沖縄観光の回復に期待 「次期振計へ制度継続を」 県内経済界は中小企業支援充実を望む


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 岸田文雄首相が14日に衆院を解散し、31日投開票に向けて事実上の選挙戦に突入した。新型コロナウイルス感染症の影響で、基幹産業の観光業を中心に深刻な打撃を受けている県内経済界からは、経済回復に向けて実効性のある政策を求める声が上がった。

 県経営者協会の金城克也会長は、今後の政策論議について「生産性の向上などにより、企業が成長できるような環境をつくり、経済の好循環に結び付けてほしい」と希望した。2022年度以降の沖縄振興計画策定作業が大詰めを迎えていることにも触れ、「高率補助や一括交付金、沖縄公庫の存続など、次期振計の実施に必要な制度の継続を強く望みたい」と強調した。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、コロナ禍の影響について「人を多く抱えている中堅地元企業は厳しい状態が続いている。事業の規模に応じた支援をしていくことが一番大事だ」と指摘した。「収束後に観光客が戻る段階に備えて、人手を確保し受け入れ体制を準備する必要がある」として、雇用調整助成金の特例措置延長なども重要になるという認識を示した。

 長引くコロナ禍によって消費が低迷し、売り上げの減少に苦しむ中小企業が多い。県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は、抜本的な対策を講じるべきだと指摘する。「現状では、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を気にするのではなく、しっかり財政出動をしてほしい。例えば消費減税など、消費を喚起する思い切った政策論争をしてほしい」と話した。

 9月末で緊急事態宣言が解除されたが、飲食店の営業時間や酒類提供時間などには制限が残っている。県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「第6波が来ないように抑えつつ経済を回復させるためにも、ワクチンパスポートの仕組みを早く整えてほしい」と求めた。