<衆院選2区・紙上討論>コロナ対策や沖縄振興計画どう考える?宮崎氏と新垣氏に聞く


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沖縄県庁(資料写真)

 琉球新報社が実施した衆院選沖縄2区の立候補予定者紙上討論で、自民前職の宮崎政久氏(56)、新人で前北中城村長の新垣邦男氏(65)の両氏は感染症対策や次期沖縄振興計画への考え方などについて、論戦を交わした。米軍普天間飛行場や嘉手納基地を選挙区内に抱え、基地から派生する問題の解決策で独自施策を打ち出した。クロス討論では政治姿勢や政策的な立場を問う質問が上がった。同区には新人の山川泰博氏(51)=維新、新人の中村幸也氏(41)=NHK党=も立候補を予定している。 (文中敬称略、’21衆院選取材班)


【争点】

県民の暮らし経済守る 宮崎氏
沖縄に寄り添う政権を 新垣氏

―県内の争点は。

 宮崎 新型コロナウイルス対策だ。菅政権はワクチン接種を強力に推進し、第5波を収束させたが、私も与党議員として沖縄の特性を踏まえて政策提言し、その提案が実現され、結果を出してきた。今後も具体的な政策提言を行い、沖縄の暮らしと経済を守っていきたい。

 新垣 一義的に、衆院選は政権選択選挙だ。最大の争点は、辺野古新基地建設の強行で沖縄の民意を蔑(ないがし)ろにしてきた安倍・菅政治をどう総括し、清算するか。すなわち自公政権の継続か、政権交代を実現して民意に従う政治、沖縄に寄り添う新たな政権を樹立するかだ。


【コロナ対策】

必要な給付迅速に 宮崎氏
消費税3年間ゼロ 新垣氏

―新型コロナウイルスの感染拡大防止策、経済活動回復に向けた取り組みは。

 宮崎 第6波の発生の備え、無料で何度でも検査を受けられる環境を整備するとともに臨時病院を含めた医療体制の拡充、医療負担軽減のための内服薬による治療の実現など、万全の備えが必要だ。感染防止対策は継続するとともに今まで以上に水際対策をしっかりと行い、第6波の発生をできる限り防ぐべきだ。

 電子的なワクチン接種証明を積極的に活用し、安心して経済活動を再開できる体制を整備しなければならない。困窮する個人や企業を対象にした給付金も継続すべきだが、できる限り安心感を持ってコロナ対策と経済活動の両立を図れるよう、給付金は一律とするのではなく、その必要性や、事業規模に応じた金額を迅速に支給できる制度を設計すべきだ。

 新垣 人流抑制に実効性を持たせるため、行動変容を促すインセンティブが必要だ。「お願いベース」の規制ではなく補償をセットで行わなければならない。予防拡大の観点では、水際対策としての空港や港での無料PCR検査の実施に加え、ワクチン接種の加速化も必要だ。

 感染者への対応としては、コロナ専門臨時医療施設を設置し、病床確保で医療崩壊を防ぐ。電話窓口など現場の人員を増やし、自宅療養・待機者にきめ細やかに対応していく。生活者の購買行動を促し、景気の底上げを図るため、社民党は消費税の3年間ゼロ税率を提案している。財源は「巣ごもり需要」「テレワーク需要」などで利益を上げている企業の内部留保に臨時課税して確保する。


【振興計画】

本質的解決へ精査 宮崎氏
特殊事情の解消を 新垣氏

―沖縄振興計画の現状評価、今後の在り方は。

 宮崎 沖縄振興計画が沖縄の産業振興等に果たしてきた役割は大きく評価するが、新たな計画の策定に当たっては、沖縄が抱える本質的な課題解決に寄与するよう項目を精査すべきだ。

 本土復帰50年の新計画にふさわしく、21世紀の万国津梁(しんりょう)を担う平和で豊かな沖縄社会の実現を目指しつつ、特に県内在日外国人を活用した英語教育の拡充で国際社会に活躍しうる人材の育成、モノレールの西原町への延伸や基地跡地へのデジタルシティー、健康医療拠点を実現して、さらなる沖縄の発展をつくる。

 新垣 「沖縄の特殊事情」はいまだ解消されていない。「国の責務」に基づく沖縄振興策は今後も必要だ。国には基地問題と振興をリンクさせず、県策定の振興計画を財政的に裏付けることで、その責務を果たすことを求めたい。

 酒税など一部の税制特例については段階的見直しの時期にある一方、航空機燃料税やガソリン税の軽減措置など県民生活や産業活動への影響が大きいものは継続が必要だ。なお存在する、社会資本格差是正のための高率補助制度、地域課題に対応するための沖縄公庫独自の出資・融資制度も存続・継続を求めたい。