<衆院選2区・紙上討論>辺野古移設や憲法改正 宮崎氏と新垣氏の考えは?


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新たにN2護岸の工事が始まった新基地建設工事現場=8月27日、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 琉球新報社が実施した衆院選沖縄2区の立候補予定者紙上討論で、自民前職の宮崎政久氏(56)、新人で前北中城村長の新垣邦男氏(65)の両氏は感染症対策や次期沖縄振興計画への考え方などについて、論戦を交わした。米軍普天間飛行場や嘉手納基地を選挙区内に抱え、基地から派生する問題の解決策で独自施策を打ち出した。クロス討論では政治姿勢や政策的な立場を問う質問が上がった。同区には新人の山川泰博氏(51)=維新、新人の中村幸也氏(41)=NHK党=も立候補を予定している。 (文中敬称略、’21衆院選取材班)


【辺野古移設】

やむを得ない選択 宮崎氏
県内の必然性ない 新垣氏

―米軍普天間飛行場の返還・移設問題の解決策と、在沖米軍基地の在り方についての考えは。

 宮崎 普天間飛行場が世界一危険な飛行場であることは共通の認識だ。その上で、辺野古移設以外に現実的な危険性除去の方法がない現状では、辺野古移設はやむを得ない選択だ。

 普天間基地の危険性の除去は、沖縄県民の生命の安全に直結する問題であり、普天間基地の移設は、沖縄県民にとって一分一秒でも早く解決しなければならない課題である。県民の命を一番大切に考えるならば、危険性除去は具体的かつ現実的に実現できる方法を採るべきだ。返還合意された基地の返還は着実に進め、第一次管理権をわが国に移管し、過重負担の軽減を大きく進める。

 新垣 「辺野古は唯一の解決策」と決めつけるのは政治の怠慢だ。代替施設を県内に置く地政学的、軍事的な必然性、合理性はない。歴代防衛相や米国防長官らも「軍事的に沖縄でなくてもいい」「九州でも分散できる」「辺野古は政治的な問題」等と明言している。沖縄からの全基地撤去が県民の悲願だ。実現には、長期的には片務的軍事同盟の日米安保体制から対等平等な「平和友好条約」への転換、中期的にはSACO合意や「統合計画」の抜本的見直しで、辺野古新基地など県内移設を伴わない在沖米軍基地整理縮小計画の策定。短期的には日米地位協定の全面改正で米軍活動をコントロール、超短期的には実現に向けて米側と毅然(きぜん)と交渉できる政権樹立が必要だ。


【憲法改正】

緊急条項を加える 宮崎氏
改憲こそ不要不急 新垣氏

―憲法改正への立場と、今後の改憲議論の在り方をどう考えるか。

 宮崎 改憲か護憲かではなく、わが国の現状を踏まえた現実的な議論をすべきだ。沖縄は、憲法制定時、米国統治下にあり、県民が制定手続きに関与できなかったことから積極的に議論したい。制定時に想定されなかった大規模災害時の緊急事態条項は憲法改正して定めるべきだ。

 新垣 反対。護憲の立場だ。コロナ禍を口実にした「緊急事態条項」創設など自民党改憲4項目は現行憲法下でも対応可能で、お試し改憲こそ不要不急だ。平和憲法の掲げる理念こそ国際社会が求める規範。改憲より平和憲法の理念実現のための政治に力を尽くすべきだ。


【基地派生事件・事故】

地位協定の改定を 宮崎氏
管理権を自治体へ 新垣氏

―基地から派生する事件事故の抑止策は。

 宮崎 米軍人等による事件事故の抑止には、第一義的には米軍に対して継続的に綱紀粛正を訴えるべきだ。ただし、これは米軍内部の問題であり、わが国としては日米地位協定の改定、特に刑事裁判権に関する規定の見直しを求めるべきだ。これにより法定刑の引き上げと同様の抑止力が期待できる。政権与党議員として、沖縄選出議員として積極的に政策提言していきたい。

 新垣 日米地位協定を全面改正すべきだ。米軍と軍人・軍属らへの特権付与がやりたい放題の運用と傍若無人な振る舞いの温床となっている。「運用改善」や「補足協定」は弱腰の日本政府が米側に押し切られた妥協の産物。常に「軍隊の論理」が優先され飛行規制や基地立ち入り、捜査権等で実効性が伴わない。第三条基地管理権の関係自治体への移管で国内法を順守させ、活動そのものを抑制していく。


【最も訴えたいこと】

結果出してきた

 宮崎 これまでの実績を訴えたい。政治とは結果を出すことだ。認可外保育園への公費での防音工事や、議員立法「わいせつ教員対策法」成立など、県民生活に密着する事柄から国全体の制度設計まで幅広い分野で結果を出してきた。

照屋氏信念継ぐ

 新垣 (前職の)照屋寛徳氏は、米軍基地の集中する沖縄2区選出の衆院議員として、基地被害から県民の人権と尊厳を守るため、政府と真っ向から対峙(たいじ)してきた。その大切な議席と政治信念を引き継ぐのが私に課せられた使命だ。「ウチナーの未来はウチナーンチュが決める!」