石垣市のサーバー引っ越し予定日と衆院選投開票日が同日に…作業短縮余儀なく


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業務開始への準備が進む石垣市役所新庁舎=15日、石垣市

 【石垣】19日に公示、31日に投開票される衆院選挙。沖縄県や市町村の選挙管理委員会は、選挙に向けた事務作業を急ピッチで進めている。だが石垣市は元々、31日に別の重大な業務を予定していた。新庁舎への移転に伴う役所のサーバーのホストコンピューターの引っ越し作業だ。役所業務に関するシステムを処理するいわば「役所の心臓部」の引っ越しと総選挙の投開票日が重なる事態に、担当者は頭を抱えている。

 市は老朽化した現庁舎から新庁舎への移転を計画している。6日に建築業者から新庁舎の引き渡しを受けており、新庁舎での業務開始は11月15日となる予定だ。

 市のシステムを担当する企画政策課情報政策係の棚原輝幸係長によると、近年、県内の同規模の市役所の引っ越しは、土日を含めた3連休や年末年始の長期休暇中に作業が行われていた。

 だが石垣市の場合、10月から新庁舎業務開始の11月15日までの間に3連休はない。そのため同係では30、31日と11月13、14日の2度に分けてサーバーを移転する計画を立てていた。その1度目の作業日が、選挙と重なってしまった。

 通常の選挙時、同係は係員全員で投票に関するデータを確認し、トラブルがないかなどをチェックする役割を担っている。だが今回はそうした選挙事務と同時並行で、引っ越し作業にあたらなければならない。

 引っ越し作業ではサーバーを分解し、組み上げ、システムを再構築するなどの作業が必要だ。選挙当日は選挙事務に集中するため、30日中に1度目の引っ越し業務を終えることを目指すという。ただ庁内の多くのシステムを処理するサーバーのため、引っ越しでトラブルが生じると市の行政サービスが止まりかねない。作業には慎重さも求められる。

 選挙日程が決まった時には「頭を抱えた」という棚原係長。「今の時代、庁内のシステムが使えなければ役所の業務はできない。誰も体験したことがない作業だが、できなければ新庁舎が開庁できないので、失敗するわけにはいかない」と話している。
 (西銘研志郎)