体操跳馬の安里、五輪逃し闘志に火 4年ぶり世界選手権、大技でメダル狙う


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世界選手権の表彰台を目指し、気合を入れる安里圭亮=9月29日、三重県の相好体操クラブ四日市教室(提供)

 10年ぶりの日本開催となる体操の世界選手権。種目別跳馬に出場する北中城村出身の安里圭亮(28)=宮里中―興南高―福岡大出、相好体操クラブ=は、2017年以来2度目の挑戦となる。目標としてきた今夏の東京五輪出場はかなわなかったが、画面越しに世界トップの争いを目にして「闘志に火が付いた」という。目標は4年前の6位入賞を上回る表彰台。「大きな舞台でトップ選手と勝負し、メダルを獲得したい」と奮い立つ。

 五輪代表の座を目指していた安里に試練が訪れたのは4月のこと。右足のすね部分に完治の難しい疲労骨折が判明し、続く代表選考会で苦戦を強いられ、五輪の舞台に手が届かなかった。「もっと力が出せたんじゃないか」。モヤモヤとした気持ちが心を覆った。

 しかし五輪が開幕すると、心境に変化が生まれる。テレビ越しに世界のトップ選手たちが輝かしい舞台で持てる力を出し合い、技を競っていた。「こういう選手と世界の舞台で勝負がしたい」。再び闘志が湧いてくるのを感じた。世界選手権を見据えて五輪選考会の終了後は治療に専念し、8月上旬から本格的に練習を再開した。注力するのは持ち技である高難度の「リ・セグァン」の精度向上だ。台に手を突く位置やロイター板の使い方など細かい調整を重ねてきた。2連覇した9月の全日本シニア選手権後には「内容はすごい良かった」と振り返り、調整は順調だ。難度をさらに上げた開発中の新技「屈身リ・セグァン」についても「できるなら跳びたい気持ちはある」と意欲的に語る。世界選手権で技として認定されれば「アサト」の名が付くだけに、思いは強い。

 世界選手権初出場だった4年前は「心が押しつぶされそうだった」というほど緊張し、代表のユニホームが重かった。飛んだ時の記憶もほとんどない。入賞はしたが、決勝では着地の乱れやラインオーバーをして「納得のいく跳躍ができなかった。悔しさを晴らしたい」とリベンジを誓う。

 自国開催で注目度も高く「地元で応援してくれる人たちにいい結果を見せたい」と支援を力に変える。沖縄が誇る跳馬のスペシャリストが、世界の頂へ舞う。
 (長嶺真輝)