100年前の出土品、沖縄に里帰り 伊波貝塚・荻堂貝塚 県立博物館で初展示


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県内初展示となる、東京大総合研究博物館で保管されていた出土品=15日、那覇市の県立博物館・美術館

 沖縄県立博物館・美術館の博物館企画展「海とジュゴンと貝塚人―貝塚が語る9000年のくらし」が15日、那覇市の同館で始まった。約100年前に伊波貝塚(うるま市)、荻堂貝塚(中城村)で発掘され、東京大総合研究博物館で保管されていた出土品を県内初展示するなど、251点を用意した。SDGs(持続可能な開発目標)に注目が集まる中、およそ9千年間続いた貝塚時代を学ぶことは「未来を考える手がかりになるのではないか」(山崎真治主任学芸員)と多くの来場を呼び掛けている。

 戦前に出土した品の多くは沖縄戦で失われたとされ、県外で保管され危機を乗り越えた重要な資料となる。

 貝塚時代は11世紀ごろに農業が行われるまで続いた狩猟採集社会だ。山崎氏は「人と環境が調和していた時代」だと位置付ける。

 貝塚からは貝殻のほか、ジュゴンの骨も出土した。貝塚時代前期のものと見られる、ジュゴンの骨でできた装飾品など大切に扱われており、時代は変わってもジュゴンが自然の豊かさの「象徴」だったことがうかがえるという。

 12月5日まで。期間中、文化講座などもある。月曜休館。問い合わせは同館(電話)098(941)8200。