届ける私の声 経済、コロナ、基地…「どうなんだろう」 選挙戦実感、空に米軍機も<衆院選公示 有権者ルポ>


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(左)街頭で政策を訴える候補者(右)有権者と拳を合わせる候補者(下)候補者の演説を見つめる人たち=いずれも19日、本島内

 新型コロナウイルス下で県内では初の国政選挙となる衆院選が19日、公示された。超短期決戦の中、訴えは有権者にどう響き、どこまで届くのか。市井の声を国政に伝えるための一票はどの候補者に投じられるか。スピーカーが支持訴えの声を鳴らし始め、一挙に“モード”に突入した選挙戦初日の各地を記者が歩き、候補者を追いかけながら、街の声を聞いた。

 衆院選が公示された19日。立候補者は午前中に各地で出発式や出陣式を開いた。雨が降る中、夕方まで選挙カーで選挙区内を回り、支持を訴えた。陣営の熱気に呼応するように選挙を肌で感じている人もいた。

 米軍基地周辺では早朝から夜まで戦闘機や輸送機オスプレイ、ヘリが飛行し、ごう音が響いた。立候補者が演説を一時中断する場面もあった。投票先を決める政策で基地問題を挙げた有権者もいた。

 今回の選挙では違法ポスターなどの取り締まりが強化されており、のぼりが乱立する風景は少ない。「選挙が始まったと分からなかった。盛り上がりを感じない」という声も聞かれた。交差点を埋め尽くす支持者や演説の音に顔をしかめる人もいた。一方、各地で立候補者がマイクを握ると、手を振り返したり、クラクションを鳴らしたりして激励する人たちもいた。

 タクシー運転手の桑江良信さん(78)=沖縄市=はこの日の午後、交差点を走らせている時に演説を見かけ、選挙の始まりを感じた。新型コロナウイルス流行に伴う収入の落ち込みに頭を抱えている。経済回復に向け「予算を取ってほしい」と期待した。

 本島北部の交差点で、生後5カ月の娘と一緒に演説を見守る夫婦の姿があった。立候補者が手を振ると、大畑美樹さん(38)は娘を抱き締めながら体を揺らして応えた。「ちゃんと自分の目で見て、耳で聞いて事実を確認できる人に育ってほしい」

 別の候補の演説に駆け付けた當眞奈緒さん(34)は「今まで政治に興味はなかったが、コロナ対策は『どうなんだろう』と思い、政策が大事だと感じた。やっと関心が持てるようになった」と語った。

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