政治が「自分ごと」に…高校生・大学生に聞いた!新型コロナと選挙


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 学校が休みになったり、就職内定が取り消されたりと、新型コロナウイルスの感染拡大は学生の暮らしに多大な影響を与えた。コロナ禍を通じて政治を「自分ごと」に捉えるようになった若者は少なくない。この経験は投票行動にどう結びつくのか。那覇市の大学受験予備校「グレイトヴォヤージュ」の協力を得て、高校生や大学生に話を聞いた。

公約の違い見分けたい/屋良真緒さん(18)

屋良 真緒さん

 「シンガポールへの修学旅行がなくなったときは、しょうがないと分かりつつ、絶望感でいっぱいだった」。那覇国際高校3年の屋良真緒さん(18)は、コロナ禍を振り返ってそう苦笑いした。

 高2に上がった新学期から学校はしばらく休みで、友達に会えない日が続いた。「台風の時みたいでラッキーと思っていた」が、休みが長引き、次第に勉強のやる気がなくなった。大学を目指す理由が分からなくなり、不安が膨らみ、親に泣いて相談することもあった。

 日々の感染者数が気になってニュースに接する機会は増え、政治は身近になった。コロナ禍で安倍政権は菅政権になり、そして岸田政権に交代した。「今まで安倍首相しか知らなくて、あっさりと交代するイメージがなかった」。9月に18歳になり、衆院選で初めて一票を投じる。「公約の違いをうまく見分けたい」と話す。

政策の優先順位示して/松堂千輝さん(21)
 

松堂 千輝さん

 コロナの影響が今後いつまで続くか見通せず、琉球大学3年の松堂千輝(かずき)さん(21)には将来への「漠然とした不安」がある。

 昨年、コロナで就職内定を取り消された大学生が職を求めて松堂さんのアルバイト先にやってきた。「内定取り消しってけっこう残酷じゃないですか」。企業就職を目指しており、人ごととは思えなかった。コロナ禍で同様のニュースを見聞きすることが増えた。友人は公務員志向が強い。

 大学の講義はリモートが主流で、2年から現在まで対面は選択していない。「僕は大歓迎。ズームで友達とテスト勉強をすることもあるし、会えていない感覚もない」

 2018年の知事選で初めて投票に行った。候補者の掲げる政策はどれも総花的で「優先順位が具体的に示されていれば、若者にも分かりやすいのではないか」と感じている。

家族会話に年金や基地/喜屋武千旦さん(17)

喜屋武千旦さん

 休校で生活リズムが崩れた学生は少なくない。昭和薬科大学付属高校2年の喜屋武千旦(ちあき)さん(17)は、休校で「ほぼ昼夜逆転みたいになっていた」と明かす。

 ユーチューブの動画を見始めるとやめられず、夜更かししてしまい、眠気をこらえ学校のオンライン授業を受けた。学校が再開し、ようやく生活は元に戻った。「対面だと友達もいてけじめがつく。オンラインは向き不向きがあるのかも」

 まだ選挙権はない。暇があればインスタグラムやユーチューブを楽しむ高校生だが、家族との会話で年金や基地問題に関心を寄せる。若者の投票率低下と聞き印象に残るのは、自民党の麻生太郎副総裁が昨年「若者が政治に関心がないのは日本が平和だから」と発言したニュースだ。「自分一人が投票しても何も変わらないという考えは持たないようにしたい」

政治家の言動に驚きも/山城幸椰さん(19)

山城 幸椰さん

 琉球大学1年の山城幸椰(ゆきや)さん(19)にとって、緊急事態宣言で大好きなカラオケが休業要請の対象になったことは、大きな関心事だった。「一人カラオケなら感染リスクもなさそうなのに」と思いつつ、解禁の日を待ちわびた。

 コロナを通じ、政治家の動きに関心を持つようになった。最近、議員が議会で「カチャーシーで免疫が高まったか?」と質問したことを報じるニュースが気になった。「マスクは不要とか、コロナは風邪とか主張する人はよく見かけるけど、そういうことを言う政治家がいるんだと驚いた」

 これまで1度投票の機会があったが、いつの間にか選挙期間は過ぎていた。候補者をどう選ぶか。公約がびっしり並ぶ候補者の政策ビラを眺め「不利な情報や弱点も知ることができると、逆に関心や応援したい気持ちにつながるかもしれない」と語った。