―新たな沖縄振興をどう進めるのか。
「沖縄のため、日本のための振興策であるべきというのが前提だ。党内の議論では、5次にわたる振興策で残された課題の洗い出しを進めた。道路港湾などのハード面の整備はかなり進んだが、子どもの貧困対策や人材育成などソフト面に課題がある。若者たちのチャレンジの場の創出が大事で、人材育成や教育に注力する振興策にしていく」
―沖縄振興予算の概算要求額が10年ぶりに3千億円台を割り込んだ。
「那覇空港第2滑走路の整備が終わり、大きなプロジェクトがなくなったことも影響している。返還が予定される米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の跡地利用計画などが具体化してくると状況は変わる」
―鉄軌道の導入はどうか。
「どこからどこへ通すのか。路線の距離や規模が決まっていない。地権者の理解も必要だ。都市圏に通すのであれば、個人的には宜野湾市の普天間飛行場の返還とも絡むと考えている」
―内閣府による一括計上方式は続けるべきか。
「基地と引き換えの沖縄振興といういわゆる『リンク論』と関連付けて、国策に左右されるという指摘がある。むしろ、一括計上方式だから国策を縛っている側面がある。重要なのは、県民が、政策ツールとしてどういう形の振興策にこだわるかということだ」
―辺野古新基地建設の推進は変わらないか。
「辺野古移設に決まるまでに歴代内閣が米側と議論を重ねた。この過程には重いものがある。そのプロセスをひっくり返すと収拾がつかなくなる。セカンドベストというのはなかなかなく、現行計画が普天間飛行場返還の一番の近道だ」
―イージス・アショアは計画が撤回されたが。
「個人的には撤回すべきではなかったと思っている。防衛省も計画がずさんな面はあったが、代替策がまとまっておらず、撤回による結末がいまだについていない。防衛政策はデメリットが可視化されにくいため、丁寧な議論が必要だ」
―琉球弧に地対艦ミサイル網を敷く「南西シフト」には地元で不安もある。
「外交努力で防衛的なリスクを低減させるのが基本だ。交流や相互理解を重視する沖縄の『万国津梁』の思想とも通じる。ただ、日本の外交だけでは制御できない外的要因もある。そうしたリスクに対応するための離島防衛であることを理解してほしい」
沖縄は来年で日本復帰50年の節目を迎える。現行の沖縄振興計画の根拠法である沖縄振興特別措置法の本年度末での期限が迫る中、国政の行方を占う一票を投じる機会がやってきた。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設では県と国との対立が続き、米軍の事件・事故も後を絶たない。沖縄が抱えるさまざまな課題にどう取り組むのか。主要政党幹部らの見解を聞いた。
('21衆院選取材班)