余剰乳に戦略的視点 宮平乳業・ハンドクリーム 県知事賞非食品部門


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県知事賞を受賞した宮平乳業の宮城陽介さん(左)と宮城哲也さん=パレットくもじ前広場

 創業102年の牛乳メーカー宮平乳業(糸満市、宮平隆一社長)は、余剰乳を活用した牛乳成分配合のハンドクリーム「Chi―Chi(ちーちー)」で、第24回商工会特産品コンテストの非食品部門で県知事賞に輝いた。本業を生かした斬新な商品開発や、余剰乳の課題に戦略的な視点で取り組む姿勢が評価された。

 乳牛は暑さに弱いため夏場は牛乳の生産量が減る。逆に生産量が多い冬場は余剰が出るなど、生乳価格の安定が長年課題となっている。同社は創業100周年の2019年ごろから余剰乳の新たな活用法を模索し、営業の宮城陽介さんは「老舗乳業メーカーとして、コスメ事業という全く新たな分野での挑戦が始まった」と振り返る。

 ハンドクリームは余剰乳から抽出した乳清(ホエイ)に、久米島海洋深層水や月桃など県産素材の美容成分を配合。高温多湿の沖縄でも快適に使えるよう、べとつきがなく、さらりとした使い心地を追求した。

 宮城さんによると昨年12月の発売以来、評判が広まり取扱店舗も増えた。宮城さんは「社内では全国でもウケる商品への改善や、パッケージをより宮平乳業らしくする提案など、より良くするための活発な意見が絶えない」と語る。

 目標は商品開発を通した「宮平ブランド」の認知度向上と、牛乳の消費底上げだ。コスメ以外にも、Tシャツや牛乳パックを使ったリサイクルバッグなど、オリジナル商品も続々市場に投入している。宮城さんは「牛乳はどうしても販路が限定される。本業を守りつつ、新たな切り口で県内外のファンを増やしていきたい」と述べた。