物流拠点化、産業の柱に 立憲民主党・枝野幸男氏<政党に聞く・21衆院選>2


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国会内でインタビューに応じる立憲民主党の枝野幸男代表=14日、東京

 ―来年で日本復帰50年を迎える沖縄の振興策は。

 「沖縄の優位性を生かした振興が基本的な考え方だ。他地域と比べて優位性があるのは、『観光』に限定され、県経済は観光だけの一本足打法になっている。今後は、物流にもっと力を入れていくべきだ」

 ―具体策は。

 「那覇空港のハブ化を進め、社会状況の変化に柔軟に対応できる仕組み作りが必要となる。アジアと近接する地理的優位性を生かす。『世界への窓口』になるべく物流の拠点化を進め、産業の柱にする。『観光』と『物流』の2本柱で沖縄振興を進める」

 ―これまでの振興策で見えた課題は。

 「やはり経済の問題だ。若年人口が他地域に比べて多いが、貧困率が高く、厳しい状況にある。若年層、子育て世代を支える公的支援を充実させ、教育環境を改善しなければいけない。加えて、コロナ禍で傷ついた経済の立て直しも急務だ。中小企業の事業維持のための緊急経済対策もやっていかなければいけない」

 ―来年度振興予算の概算要求は3千億円台を下回り、一括交付金減額も続いている。

 「自治体に、使途の自由度が担保される一括交付金制度は地方自治を進める施策として民主党が創設した。沖縄がモデルになり、全国に制度を広める方針だった。しかし、自公政権はこの一括交付金を減額する一方で、沖縄振興特定事業推進費など国直轄の予算を増やしている。時代に逆行する施策で、われわれの政権では地方自治を推進する本来の流れに戻していく」

 ―米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設は中止し、米側と交渉するとのことだが、その後のビジョンは。

 「米国を交渉の土俵に乗せるのが第一だ。ゼロベースで議論しないと結論ありきで交渉に臨めば、はじき返されるだけだ。それは2009年の政権交代時の教訓だ。時間がかかっても粘り強く交渉し、解決を図る。交渉を後押ししてほしい」

 ―米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設問題は。

 「県連の中でも意見が分かれている。県民の7割が反対した辺野古の問題と違って、意見が多様だ。議論を重ね、慎重に見極めていかなければいけない」

 ―SNS上のヘイトスピーチ、フェイクニュースへの対応は。

 「法務省から独立した人権救済機関を設置する。法的なハードルが低い枠組みを作ることが、悪質な書き込みの抑止につながる」


 沖縄は来年で日本復帰50年の節目を迎える。現行の沖縄振興計画の根拠法である沖縄振興特別措置法の本年度末での期限が迫る中、国政の行方を占う一票を投じる機会がやってきた。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設では県と国との対立が続き、米軍の事件・事故も後を絶たない。沖縄が抱えるさまざまな課題にどう取り組むのか。主要政党幹部らの見解を聞いた。

 ('21衆院選取材班)