<衆院選3区・紙上討論>コロナ対策、沖縄振興計画はどう考える? 屋良氏と島尻氏に聞く


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 琉球新報社が実施した衆院選沖縄3区の立候補者紙上討論で、立民前職の屋良朝博氏(59)と自民新人の島尻安伊子氏(56)は、新型コロナウイルス対策や憲法改正に対する考え方などについて主張を戦わせた。沖縄振興計画の在り方を巡っては、予算の一括計上からの転換を図る考えや、北部と中南部の格差是正の推進という主張をそれぞれぶつけ合った。 (文中敬称略、’21衆院選取材班)


<争点>

命と暮らしを守る 屋良氏
沖縄経済立て直し 島尻氏

 ―県内での争点は何か。

 屋良 コロナで疲弊した県民の命と暮らしを守るための施策。県民の暮らしを豊かなものとするための方策。県民の圧倒的多数によって示された辺野古新基地建設の是非。沖縄振興予算の在り方。米軍基地から放出されたPFAS等含む汚染水への対応。消費税率引き下げの是非。

 島尻 第6波に備えたコロナ対策の在り方、コロナ禍で傷んだ沖縄経済の立て直し、10年に一度の次期沖縄振興法についてが争点。希望するすべての県民が11月末まで新型コロナワクチン接種をできるようにしたい。県民誰もが「無料」でPCR検査ができる体制を構築していきたい。

 


<コロナ対策>

医療提供体制を整備 屋良氏
誰もが無料でPCR 島尻氏

 ―新型コロナウイルスの感染拡大防止策や、経済活動回復にどう取り組むか。

 屋良 感染検査体制の整備・拡充で検査希望者が速やかに感染の有無を確認できるようにし、陽性者は早期に確実に医療機関にアクセスできるよう医療提供体制を整える。全国民へのワクチン2回接種の早期実施に努め、医療従事者などエッセンシャルワーカーへのブースター接種を優先して推進する。

 社会経済活動はワクチン・パスポート(接種証明書)の活用等をしながら、専門家の科学的知見など得つつ再開していく。厳しい状況に追い込まれた事業者については、すべての業種で収入を補填(ほてん)する。対策を講じるにあたっては、第6波、第7波と感染再拡大へとつながらないよう専門家との連携を強化し、国民への丁寧な説明を重ねた上で国民の協力を求めていく。

 島尻 希望するすべての県民が11月末までにワクチン接種できるようにする。また県民誰もが「無料」でPCR検査ができる体制を構築し、大きな問題となった自宅療養者もゼロにするよう施策を講じたい。

 コロナ禍で傷んだ沖縄経済を立て直すために、選挙終了後速やかに大型補正予算を組み、Go Toトラベル、イート等のさまざまな支援策を講じたい。また「女性」や「非正規雇用」の方々、生活困窮者、孤独・孤立状態にある方々などへは、緊急小口資金や総合支援資金、生活困窮者自立支援金等のきめ細かい支援を継続し、コロナ禍が格差の拡大・固定化につながらないよう、目配りの効いた対策を行う。

 


<振興計画>

一括計上「卒業」へ道筋 屋良氏
子の貧困対策集中的に 島尻氏

 ―沖縄振興計画の現状と、今後の在り方をどう考えるか。

 屋良 内閣府による沖縄振興予算の一括計上は復帰後、社会インフラで本土格差を是正し、沖縄県が独自に予算折衝できるようになるまでの暫定措置と考える。今後は沖縄独自の発想と企画力でバランスよく予算編成することが望まれ、一括計上から“卒業”する道筋を立てるべきだ。自由度の高い、沖縄振興一括交付金を減額し続けているのは問題で、県の自主性、地域の創意工夫が生かされる同交付金の増額を求める。特定事業推進費の予算措置は、県を通さず国の一方的な意向で特定の市町村に偏っており、県内の分断を深めている。

 島尻 今回の概算要求で3600億円の要望に対し2998億円しか認められなかったのは大変残念で、県はもっと危機感を持つべきだ。さらに予算が削りこまれ、県民生活に影響が出ないか懸念している。一方、新たな方向性も見えた。「県内企業の競争力強化や人材育成に新規事業」が新設され、私が大臣の時に新規事業となった「子どもの貧困対策事業」も19億円の予算が付き、「市町村が行う支援員の配置」や「子どもの居場所づくり」を集中的に行うことになる。今後は「中南部と北部の格差是正」にもっと力を入れるべきだ。