ディアマンテス結成30年 徒歩で沖縄縦断、見つめた原点 6年ぶりアルバム「パソアパソ」


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ディアマンテスが誕生した9月20日に結成30周年記念アルバム「パソアパソ」を発売し、これまでの活動を振り返り感謝するアルベルト城間(右)とトム仲宗根=8日、那覇市泉崎の琉球新報社(喜瀨守昭撮影)

 今年結成30周年を迎えたラテンロックバンド「ディアマンテス」は6年ぶりのアルバム「paso a paso(パソアパソ)」をこのほど発売した。アルバムタイトルであり、表題曲にもなっているスペイン語「パソアパソ」の意味は“一歩一歩”。トム仲宗根(ベース)が今年3月に国頭村辺戸岬~糸満市喜屋武岬まで約135キロの沖縄縦断ウオーキングに挑戦し、歩いて感じたことを歌詞にし、アルベルト城間(ボーカル)と曲を作る企画の中で生まれた。トム仲宗根とアルベルト城間に話を聞いた。(聞き手・田中芳)

 ―沖縄縦断ウオーキングから生まれた新曲にはどのようなメッセージがあるか。

 トム仲宗根 北から南まで歩いて喜屋武岬に着いた時、ここが本当のゴールではなくて、音楽人生の始まりだと考えた。ディアマンテスに縁のある、オクマビーチに寄ったりして30年を振り返るきっかけにもなった。その中で出てきた言葉が“一歩一歩”。僕が詩を思い浮かんだら『人生とは』みたいな言葉が出てきて、アルベルトは演歌っぽくしたのかな(笑)。ただ、アルベルトのルーツには(演歌が)ある。

 アルベルト城間 そうだね全然違うものができた。日本に来て35年がたったが、東京にいた頃は河島英五さんのカセットテープを聞いていた。つらい時期だったが音楽の力をすごく感じた。コロナ禍になってその頃と重なったのもある。昭和歌謡がとても好きで、日本語をきれいに聞かせられるフォークソングにしたかった。今までにない曲になったと思う。

アルバム「paso a paso(パソアパソ)」はスペイン語で「一歩一歩」。30周年のアニバーサリーアルバムは縁のあるアーティストと多数コラボレーションする。全16曲収録。

 トム仲宗根 「パソアパソ」のアンダンテバージョンをアルバムの最後に収録している。アンダンテは音楽の速度記号。偶然だが、その速度を調べていて、アンダンテは「歩くような速さで」という意味で「いいね」ってなった。

 アルベルト城間 どっちをメインにしようか迷うくらい良い曲になった。

 ―30周年を迎えて心に残っていることや今後の抱負を聞かせてほしい。

 トム仲宗根 出会いや別れがあったがやっぱりメンバーとの別れが心にある。ただ僕らはとにかく続けてきたということが、この“一歩一歩”にあるのかなと思う。いい音楽をやりたいし、聞いてくれる人がいてくれたらミュージシャンとして最高に幸せ。バンドは生もので成長していくもの。これから熟成期に入っていくがうまい年の取り方、成長ができたらいいなと思っている。

 アルベルト城間 パークアベニューで歌い、お客さんがリズムに乗って喜んでいるのがとても幸せだったし、充実していた。ライブハウスやホテルで1日6回のステージをやりこなすというのは、僕らの本当の原点でもある。それができたから、30年続けることができたように思う。ライブに来てくれるお客さんや、沖縄の人がハッピーであってほしいという気持ちがずっとある。明るいことばかりじゃなくて悲しいこともあるが、幸せになってほしいし、幸せになってもらえるようなバンドの役割を果たし続けたい。

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 30周年記念ライブ「paso a paso(パソアパソ)」が11月7日午後5時30分、沖縄市のミュージックタウン音市場で行われる。入場料は全席指定で一般前売り5千円、小中高生2500円(当日各500円増し)。問い合わせはピーエムエージェンシー(電話)098(898)1331。(月~木の午前11時~午後2時)。