辺野古護岸延伸着手へ 「K8」国が工事入札公告


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 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は22日までに大浦湾側の「K8護岸」の延伸工事を入札公告した。同護岸は予定地に小型サンゴが生息していることから中断していたが、サンゴ移植作業の開始を受け、護岸工事着手を決定したとみられる。

 防衛局は2019年3月、「K8護岸」の工事にに着手し、全長515メートルのうち約250メートルを完成させた。今回入札公告したのは約190メートル分で、工期は23年6月まで。入札公告は8日付で、開札は12月16日を予定している。

 防衛局はサンゴについて当初は護岸着工前に移植をする予定だったが、県の許可が得られなかったことから「一部であれば移植せずに工事可能」としてサンゴの生息する地点から50メートルの部分まで工事を進めていた。残り数十メートルは水深が深くなるため、別途工事するとみられる。予定地やその周辺のサンゴについて、沖縄防衛局は7月に県の移植許可を得て移植を始めていた。3万8760群体が対象で、まだ完了していないとみられる。

 沖縄防衛局は本紙の取材に「当該工事に必要なサンゴ類の移植作業などを行った後に着手する考えだ」と説明した。

 サンゴ移植を巡って、防衛局は7月、県の許可条件を守らず、高水温期の移植を強行した。県は中止を求める行政処分に応じなかったことから許可を撤回した。防衛局は農相に審査請求を申し立て、それに伴う執行停止で撤回が停止されて再び移植ができる状態になっている。

 沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「辺野古崎と長島の間の潮流が止まってしまい、環境への影響が大きい。知事が設計変更を不承認にしたら、護岸工事も無意味なものになる」と指摘した。