県と国、対話不足解消を 公明党・秋野公造氏<政党に聞く・21衆院選>3


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国会内で取材に応じる公明党の秋野公造氏=14日、東京

 ―新たな沖縄振興計画のあるべき形とは。

 「県民の意向に沿う形であることが大事だ。50年にわたった、これまでの振計の大枠を踏襲するということであれば、われわれはその意向に沿って最大限の支援をしていきたい。自民党内では存続について厳しい意見もあったようだが、公明党は『振興策は絶対に必要』という立場を貫いている」

 ―これまでの振計で見直すべき部分は。

 「振興策の検証は、県と国が知恵を出し合ってやるべきだ。双方の対話不足を感じる。国は沖縄の潜在的価値や強みを評価して計画を策定したのか。県側からの提案はあったのか。対話の力を信じて双方で議論を積み上げないといけない」

 ―自民党内での新振計の協議では、玉城デニー知事の存在が希薄だった。

 「玉城知事が上京するたびに公明党の沖縄21世紀委員会に出席していただいた。時間が限られているので、議論が深まらなかった面はあるが、何度も対話を重ねてきた」

 ―国と県の対話不足の弊害は。

 「新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れていた時、河野太郎沖縄担当相(当時)にワクチン確保を要請した。その後、英アストラゼネカ製ワクチンの優先配布が決まったが、県は安全面の懸念から受け入れに消極的だった。公明党は空港国内線での抗原定量検査の道筋を付け、党県本部が県に実施を要請したが、県は抗原定性検査という別の検査方法を選択した。県庁内の一部に県と国の政治的なしこりを気にする幹部がいるように感じる。対話不足が、県と国双方を疑心暗鬼にさせているようだ」

 ―辺野古新基地建設について、県本は反対の立場を崩しておらず、政府与党との立場に齟齬(そご)がある。

 「沖縄の過重な負担は絶対になくすべきだ。沖縄の民意に寄り添う判断を、ということでは党内で一致している。その点で県本が反対する気持ちは分かるが、県土を不安定にはできない。辺野古移設に反対するということは現状維持ということになる。県民の多くが求める米軍普天間飛行場の危険性除去との両立はどうなるのか。党内の課題として合意形成を図るべきだが、そのためにはより広く深い議論が必要だ」

 ―日米地位協定の改定については。

 「まずは改定を積極的に行うべきかどうかを含めた議論が必要だ。議論の結果、必要となれば党として力を尽くしたい」


 沖縄は来年で日本復帰50年の節目を迎える。現行の沖縄振興計画の根拠法である沖縄振興特別措置法の本年度末での期限が迫る中、国政の行方を占う一票を投じる機会がやってきた。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設では県と国との対立が続き、米軍の事件・事故も後を絶たない。沖縄が抱えるさまざまな課題にどう取り組むのか。主要政党幹部らの見解を聞いた。

 ('21衆院選取材班)