沖縄振興の根幹は基地撤去 共産党・志位和夫氏<政党に聞く・21衆院選>5


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本紙のインタビューに応じる共産党の志位和夫委員長=15日、東京

 ―来年で日本復帰50年となる沖縄の新たな振興は。

 「復帰前年の1971年、琉球政府の屋良朝苗主席は日本政府に提出した建議書で、『平和憲法の下での基本的人権の保障』『基地のない平和の島としての復帰を望む』とした。これが復帰の原点だ。現在も沖縄本島の面積の14・6%を占める米軍基地が経済発展を阻む最大の障害で、沖縄振興の土台には米軍基地の撤去を据えるべきだ」

 ―沖縄振興予算の一括計上方式は続けるべきか。

 「自公政権の沖縄政策は、米軍基地の維持強化を前提にしている。基地の押しつけと引き換えのばらまきだ。一括交付金を減額する一方で、県を介さずに各市町村に補助金を下ろす沖縄振興特定事業推進費などの国直轄予算を増やしている。自主性の尊重を掲げた現行の沖縄振興法を踏みにじっている。『基地』と『振興』を国直轄予算でひも付けるひどいやり方で、改める必要がある」

 ―米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設については。

 「辺野古沿岸部の超軟弱地盤の発覚で、工期は大幅に延びた。『普天間飛行場の早期返還』という政府の唯一最大の根拠が崩壊している。政府は県に設計変更の申請を行っているが、沖縄戦戦没者の遺骨が混じるおそれのある土砂を使う計画も含め、これ以上の環境破壊と基地の固定化につながる設計変更が認められる訳がない。その現実を直視すべきだ。普天間飛行場の無条件撤去を求めて米側と交渉しなければいけない」

 ―離島などへの自衛隊のミサイル配備が進む。

 「自公政権が進める自衛隊『南西シフト』の最大の問題点は、日米連携の対中ミサイル網整備になっている点だ。米軍が計画するのは中国本土のミサイル基地の破壊で、ミサイル戦争の危険性を高める。中国の覇権主義的な行動は国際法にのっとって批判するべきで平和的な解決が必要だ」

 ―沖縄経済の浮揚には何が必要か。

 「まずは政府が主導する労働力の使い捨て政策からの切り替えが必要だ。中小企業への支援を行いつつ、最低賃金を全国一律で時給1500円に引き上げる。沖縄では、国発注の公共工事の多くを本土の大手企業が受注している。こうした『ザル経済』と呼ばれる本土への資本環流の構造を改め、地元優先の工事発注を促進する。沖縄の特性を生かした地場産業の振興と人材育成を進め、農林水産業の振興のために物流経費の軽減措置を実施するべきだ」

 (’21衆院選取材班)