宜野湾出身の佐藤さんがマリンバ最高位 イタリア国際打楽器コンクール


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 ドイツの音大大学院に留学中の佐藤健詞郎さん(27)=宜野湾市出身=が、今年9月に開催された第18回PASイタリア国際打楽器コンクールのマリンバB部門で最高位に輝いた。佐藤さんは2020年4月に大学院に入学。しかし新型コロナウイルスが猛威を振るいロックダウンし、大学院での活動は9月まで制限された。思うように練習できない時期を乗り越えての受賞に「音楽ができないつらさも、うまく音を出せないつらさも、結局、全部音楽が救ってくれる。音楽を好きでよかった」と喜んだ。

 真志喜中、宜野湾高出身。中高はマーチング部で、スネアドラムやティンパニなどパーカッションを担当した。小学4年からピアノを習い、鍵盤の配列が同じ打楽器のマリンバを高2から本格的に学び始めた。昭和音楽大を卒業後、デトモルト音大大学院に進んだ。

 新型コロナの影響で、先行きが見えない中、不安や練習不足で気持ちが暗くなった。去年9月から大学院での活動が再開されて「ほっとした」という。

 今回のコンクールは、19年に初出場し2次審査で敗退した経緯もあり、焦りが募った。さらに今回は1次、2次、最終審査の全てが動画審査となった。「動画は何度も撮影できる。それが悪く作用した。細かな部分ばかり気になり、大きな流れをつくれずダイナミックさを見失いがちだった」。慣れない動画審査に最後まで苦しんだが、最後には納得いく収録を終え、満を持して最終関門に挑んだ。

 結果は1位なしの2位で、実質的に最高位の受賞となった。佐藤さんは「音楽で苦しみ、音楽で救われた」と喜びながら、同じく新型コロナで活動が制限され、音楽から心が離れかけている人たちに思いをはせる。「堪え忍ぶ時期もあるだろうが、音楽を好きでいる限り、また音楽に救われるはず。楽しんでほしい」とエールを送った。 (嘉数陽)

マリンバを演奏する佐藤健詞郎さん。PASイタリア国際打楽器コンクールマリンバB部門の審査用動画から(佐藤さん提供)
佐藤健詞郎さん