出会ったのは牛だけ…とんぼ返りの粟国出張記 比嘉璃子(那覇・南部班)


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written by 比嘉璃子(那覇・南部班)

 「今から粟国に行ける?」―。上司からの電話に朝の眠気も一気に吹っ飛んだ。米軍の大型ヘリが粟国空港に緊急着陸した翌日のことだった。1泊することを想定し、30分で荷造りを済ませて泊港へ。

 ことしから担当となったが、粟国島にはまだ行ったことはなく、分かっているのは渡名喜島より大きいことだけ。島でレンタカーを借りる時間はないと考え、社有車も船に乗せることにした。何とか滑り込みで間に合い、いざ粟国へ。

「もぉ~帰るの」と言いたげに見つめる牛=粟国島

 船は波に揺られ、まるでテーマパークのアトラクションに乗っているようだった。30分もたたないうちに船酔いでダウン。後に知ったが、新北風(ミーニシ)が吹くと那覇からの船は向かい風を受け、揺れるそうだ。

 島に着いて間もなく、米軍のヘリは離陸したと連絡が入った。確認のため、予定通り空港へ直行した。道中は「ハブ注意」の看板が目立った。本来はハブのいない島で、ハブが定着していると実感した。

 島に到着して10分後、空港に着くと、再び上司から電話が。「午後2時の船で帰っておいで」。結局、島にいたのは2時間で、日頃お世話になっている役場職員や住民の皆さんにもあいさつできなかった。出会ったのは牛舎にいた牛たちだけ。マイペースに干し草をはみながら「もぉ~帰るの~」と言っているようだった。また来ます!

(糸満市、南風原町、粟国村、渡名喜村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。