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積み重ねた技術が世界に…五輪ゴルフコース「カップ切り」を担当 尾崎めいさん<県人ネットワーク>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 東京五輪のゴルフ競技では、マスターズ王者の松山英樹選手の銅メダル争いに注目が集まった。その熱戦の舞台となった霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)で、男女の競技を通してカップ切りを担当した。カップの直径は約108ミリ。ミリ単位の緻密さと集中力が求められるカップ切りはコース管理の中でも“花形”的な仕事だ。仕事に就いて8年目で大抜てきされた。

 幼いころから自然の中で体を動かすのが好きで、自然環境の中で働きたいと思ってきた。進学した琉球大学では農業土木を学んだ。入社した「アコーディア・ゴルフ」は、大学の企業説明会でたまたま立ち寄ったことがきっかけで知った。

 配属された千葉県内のゴルフ場で、芝生の管理などを担う。毎日変化していく芝を天候や季節の変化を見極めながら整えていく。自然相手の仕事だ。「生き生きするコースの芝を見ると気持ちがいい」と言う。

 2017年の「JAL選手権」や19年のPGA・TOURトーナメント「ZOZOチャンピオンシップ」でもコース管理として参加してきた。PGAトーナメントでの仕事ぶりが評価され、東京五輪での大役を担うチャンスをつかんだ。

 五輪競技期間中は、午前5時から同僚と2人でホールを分担しながら、1人で1グリーンずつカップを切った。「神経がすり減る」ほど大変だったが「SNSでヨーロッパツアーの関係者がカップの美しさを褒めてくれたのが、うれしかった。自分の積み重ねてきた技術が世界にも通用するんだと、自信につながった」と目を輝かせた。

 力仕事が求められるコース管理はまだまだ男性が多い。「アコーディア・ゴルフ」でも全コース管理スタッフに女性が占める割合はわずか1%という。「自分が好きなことを仕事にできてラッキーだ。一つ一つ経験をすることで、自信につなげていきたい」と語る。夢はマスターズなど海外のツアーに参加することだ。
 (問山栄恵)


 おざき・めい 1990年生まれ、那覇市出身。旧姓は玉那覇。首里高校、琉球大学農学部を卒業。2014年に国内最大級のゴルフ場運営会社「アコーディア・ゴルフ」に入社。