―来年で復帰50年を迎える沖縄の新たな振興は。
「50年間続いた沖縄振興だが、県民所得の低迷が続いている点など県内でも問題意識を持つ方がいる。問題点、改善点について深い検討がないまま進んできた結果だ。やはり一括交付金の枠組みを拡充するべきだ。地域の実情に合わせた政策を実行するための財源支援であるべきだ」
―振興と防衛政策を「リンク」させるかのような動きが目立つ。
「一括交付金が減額され続けるなど、米軍普天間飛行場の移設問題への県や県民の反応に対する意趣返しと疑われても仕方のない対応だ。移設工事が順調に進まないからといって、振興予算を『アメとムチ』のように使うべきではない」
―国策に左右される一括計上方式を見直すべきか。
「個人的には地域の自主性を担保するためには見直すべきという考えだが、県民自身がどう考えるかだ。現行方式だと、官邸の政策判断の中にさまざまな予算が内包されてしまう。沖縄の子どもたちをどうするのか。教育は、自然環境は。そうした個々の政策がパッケージにされることで、基地問題との間接的な影響が出てきてしまう」
―名護市辺野古の新基地建設の是非は。
「いったん凍結という立場だ。県民の賛同が得られない上に、沖縄戦戦没者の遺骨が混じるおそれのある本島南部の土砂の使用計画を巡る問題も出てきた。ご遺骨が含まれる可能性がある中で、土砂を工事に使用することはあり得ない。辺野古では軟弱地盤の問題も発覚した。ここは立ち止まって考える局面だ。凍結後の政策については党内で合意形成されたものはない。ただ、台湾情勢が戦後最悪と言ってもいい状況になっている。台湾から一番近い米軍基地があるという現実が、かつてない重みを増している事実はある」
―離島でのミサイル配備が進む現状については。
「台湾有事が進めば、南西諸島も緊張下に置かれる。配備はやむを得ない面があるが、基地機能の固定化は避けなければいけない。固定化につなげないためにも、対中関係が緊張緩和に向かうよう外交努力を続けるべきだ」
―日米地位協定改定は。
「日米同盟が国民の多くの賛同を得るためにも改定が必要だ。すでに見直し案を作っている。米軍基地が所在するドイツ、イタリアのように国内法の適用がされる態勢にするべきだ」
('21衆院選取材班)