マリンレジャーのキャンセルも…軽石、観光業にも被害 事業者「行政対応求めたい」


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軽石で覆われた今帰仁村のウッパマビーチ=25日、今帰仁村(リゾートホテルベル・パライソ提供)

 小笠原諸島の海底火山から噴き出したとみられる大量の軽石が、沖縄県内各地の港や海岸に流れ着いている問題で、観光業にもマリンレジャーの予約キャンセルなどの被害が生じている。新型コロナウイルスの影響で稼ぎ時の夏場の需要を失い、10月に入ってようやく客足が動き出したタイミングでの天災に、観光事業者は「被害が収まることを願うしかない」と不安を募らせている。

 今帰仁村のウッパマビーチは、通常は白い砂浜が続き、10月のこの時期でもマリンレジャーの客が多く訪れる。

 だが、今月17日ごろから軽石が漂着し、砂浜は灰色で覆われている。ビーチの前に立つ「リゾートホテル・ベル・パライソ」の宮城寧支配人は「水上バイクを出せず、海に入ることもできない。県内小中学校のマリンレジャー体験の予約が11月にかけて入っていたが、キャンセルが生じている」と話す。

 当初はホテルのスタッフが除去作業をしていたが、次々と浜辺に押し寄せるため対応が間に合わないという。宮城支配人は「沖にも塊が押し寄せているのが見える。現実的に、ホテルだけで全てを除去するのは不可能だ。行政の対応を求めたい」と話した。

 軽石は、本島西海岸の恩納村にも漂着している。あるリゾートホテルでは、25日に遊泳エリアに軽石が接近したことから一時的にマリンレジャーを休止し、スタッフが手作業で片付けた。

 担当者は「これからいつまで続くのか。マリンレジャーができないまま冬になってしまうのではないか」と不安を口にした。

 南城市のあざまサンサンビーチでは、波打ち際に打ち上げられた軽石を、指定管理する南城市観光協会の職員らが手作業で取り除いている。21、22日ごろにはこぶし大の軽石が流れ着いていたが、徐々に小さくなってきているという。

 元々予約が少なかったこともあり、キャンセルは出ていないが、泳げるかどうかの問い合わせはいくつかあるという。職員は「新型コロナの影響が収まって、ようやく16日に開けたばかりなのに。(影響が長引いて)団体旅行が戻ってきた時まで続くのは避けたい」と話した。

 一方、県内海運大手の琉球海運(那覇市)によると、25日時点で貨物船運航への影響は報告されていないという。担当者は「大型船なので、仮に航路上に軽石があっても影響はない」と話した。