軽石、漁船トラブル相次ぐ「12月のソデイカ漁に不安」 被害は沖縄17漁協に


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 小笠原諸島の海底火山噴火の影響とみられる大量の軽石が沖縄県内沿岸部に漂着している問題で、県漁業協同組合連合会(県漁連)が県内全37漁協に聞き取り調査を行い、26日までに17漁協が軽石の漂着や流入による直接的な被害があったと回答したことが分かった。被害の多くが、航行中の漁船が海面浮遊している軽石を吸い込み、エンジントラブルを起こすというものだった。各漁協では、組合員に漂着の見通しが立つまで操業を自粛するよう呼び掛けるなど対応に追われている。

糸満漁協では共有スペースに張り紙をし、組合員に県内各地の被害情報などを伝えている=26日(糸満漁協提供)

 県漁連の聞き取りに対し、直接的な被害が出たと回答したのは国頭、羽地、今帰仁、本部、名護、宜野座、金武、勝連、与那城、読谷、那覇地区、那覇市沿岸、与那原・西原、佐敷中城、知念、港川、糸満の17漁協。

 県漁連には、各漁協から軽石の撤去や休漁補償に関する問い合わせも増えているという。県漁連と県漁業協同組合長会は27日、県の崎原盛光農林水産部長と面談し、漁業への影響を調査することや、軽石の撤去・清掃作業を行政主体で実施することなどを求める。

 各地で相次ぐ軽石による漁船のトラブルについて、糸満漁協では施設内に張り紙を掲示して組合員に周知を図り、操業には細心の注意を払うよう注意喚起している。漁協の担当者は「12月からソデイカ漁が始まるが、この状況では不安でしかない。自分たちだけで撤去作業をするには限界があるため、行政には早急に対応するようお願いしたい」と切実に訴えた。