セット戦術強化「自民・公明」 公明、引き締めへ活発化 衆院選沖縄


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 「政権のど真ん中から政治をしなければ県民の暮らしは良くならない」

 ある自民党候補は19日の出陣式でこう声を張り上げた。県内4選挙区に立候補する自民候補は政権政党所属であることを強調し、選挙戦を展開する。候補者の訴えに呼応するように、菅義偉前首相ら党役員・大臣クラスの大物議員も連日応援に訪れ、候補者と政権与党とのつながりの太さを有権者にアピールする。

 新型コロナウイルス対策への批判の高まりを受けて菅氏が退陣し、岸田文雄内閣が発足。県出身大臣も誕生し、自民陣営には「ご祝儀相場」への期待もあった。ただ各種情勢調査などは県内自民候補の苦戦を伝える結果も出るなど、順風とは言えない。

 ある自民関係者は「(新内閣発足が)追い風にはなっていない」と、当初の当てが外れたと認める。一方で、今回出馬するのは前職3氏と元参議院議員だとして、「この間どれだけ地域と関わってきたかが問われる」と候補者の地力が勝敗を分けると分析する。

 今回の選挙戦で目立つのは、政権与党として自民と連立を組む公明党の動きだ。九州比例ブロックで県出身候補を擁立していることが背景にあり、従来以上に小選挙区の自民候補とのセット戦術を強める。

 公明比例候補の比例名簿順が単独3位と、過去の選挙を踏まえると当選圏内に位置付けられたことで、セット戦術の緩みへの懸念も漂うが、九州比例での4議席確保を狙う公明は引き続き運動を展開する。「ここで緩むと首長選挙での連携にも影響が出る」(公明党関係者)と、比例投票先を公明から自民に転換する動機が生まれた自民側をけん制する。

 沖縄1区での保守候補同士の自民公認を巡る動きがあり、身動きが取りづらい状況にあった経済界の動きも、同区の保守分裂の構図が確定した選挙戦前後から、動きを活発化させる。

 従来通り自民候補を支持する企業・団体が目立つものの、無所属前職候補の支援に複数の県内大手企業も名を連ねて、票の取り合いが繰り広げられている。

 選挙戦最終盤に向け、ある建設業関係者は「大きく旗を振る役割をするほど時間はないが、気勢は上げている」と意気込んだ。