ガソリン高騰で家計、物流、交通に打撃 コロナに軽石も…事業者、漁師悲鳴


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 原油価格の高騰が続き、県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの小売価格は2008年以来の170円台となった。家計への影響に加え、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少している事業者からは「泣きっ面に蜂だ」と悲鳴が上がっている。

 那覇市内のガソリンスタンドの従業員男性は「満タンで給油する人が減ったように感じる」と話す。客からは、いつになったら安くなるのか尋ねられることも多いという。当面、価格が下がる見込みは薄いことから、来店客のがっかりした顔に胸を痛める。「沖縄は車社会なので、影響は大きいと思う。早く下がってほしい」とため息をついた。

 ディーゼル車に用いられる軽油も、08年以来の150円台となった。コロナ禍で原油の需要が減少した昨年春は安くなり、5月中旬には111円40銭と、現在より40円近く安かった。県トラック協会の佐次田朗会長は「燃料費の高騰は純利益をむしばむ。踏んだり蹴ったりだ」と嘆く。

 佐次田会長の経営する会社では、20数台の車両で月に約1万リットルを使用し、燃料費の増加は利益を圧迫する。一方で、沖縄は小規模事業者の荷主も多く、運賃を上げるのは簡単ではない。「適切な運賃について理解を求めていきたい」と話した。

 同様に軽油を使うバスにとっても苦境が続く。県バス協会の小川吾吉会長によると、バスは長期契約で軽油を購入しているが、価格は上昇しているという。

 コロナ禍でも路線バスの減便はしていないが、売り上げは19年に比べ約4割減っており、燃料費の負担が重くのしかかる。「通勤や通学に影響してはいけないと歯を食いしばって減便せずにきたが、燃料は必要不可欠で固定費の上昇に等しい。本当に厳しい」と話した。

 読谷村の都屋漁港を拠点とする漁師の国吉真さんは「10年間で最も高く、漁に出るのもギャンブルだ。漁獲量が減れば家計に直結する」と頭を抱える。積立型の共済に入っており、燃料価格高騰時には支援金を受け取れるが「入っていない漁師仲間は大打撃を受ける」と案じる。

 現在はマグロが釣れる最後の時期だが、回遊しながら漁をすれば燃油を消費するため、確実に釣れるポイントを狙うしかないと話す。「軽石の影響とダブルパンチだ。12月から始まるソデイカ漁に大きな影響が出ないといいが」と述べた。
 (沖田有吾、当銘千絵)