目標は都市対抗大会で球審 県硬式野球連盟で活動する27歳の審判員


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大学野球の南部九州ブロック大会決勝で球審を務める渡嘉敷力斗さん=10月20日、沖縄セルラースタジアム那覇(大城直也撮影)

 県内で開催された大学野球の第106回九州地区選手権南部九州ブロック大会決勝トーナメントの決勝戦で球審を務めた県硬式野球連盟の渡嘉敷力斗審判員(27)。23歳の時にアマチュア公認審判員1級の資格を取得し、今年6月の全日本大学選手権で沖縄から初めて球審を任されるなど、精力的に活動している。目標は沖縄を代表する審判員として社会人野球の都市対抗大会で球審に立つこと。さらには世界を舞台にする国際審判員の取得も目指している。

 渡嘉敷さんは元高校球児。沖縄工で一塁手としてプレーした。卒業後は東京で電力関係の会社に就職。草野球で競技を続けていた時、日本プロ野球連盟の審判員育成スクールの案内が目に止まった。「好きな野球に関わっていきたい」と審判員になることを決意。仕事を辞めて研修審判員採用へ挑戦を続けた。しかし思った以上に「レベルが高かった」。25歳を最後の年と決めて挑んだが、夢はかなわなかった。

渡嘉敷力斗審判員

 ただ、この期間に所属することになった県硬式野球連盟で場数を踏んでいったことで、その技術が認められる。これまで全日本大学選手権では沖縄から派遣された審判員は塁審にとどまっていたが、渡嘉敷審判員は明治神宮での1試合で球審をやり遂げた。

 きびきびした動きを心掛け、投球の瞬間にすっと腰を低くし球筋を見極める。本塁上のクロスプレーにも「その判断が必ずしも正解ではないかもしれない」と選手と同様に神経をとがらせ真剣勝負で挑む。

 さらに社会人になると「生活が懸かってる人もいる」と少しも油断はできない。「またそれが楽しさでもある」とも。好きな野球の懸命なプレーを間近で見られることは何よりの喜び。仕事を続けながら二足のわらじで忙しい日々を過ごすが、全国の強豪が集まる舞台に球審として立つことを目標に「楽しんでいきたい」とマスクを付ける。 (謝花史哲)