沖縄漂着の軽石 新たに16漁港で確認 各地で撤去始まる 重機や手作業で


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辺土名漁港に滞留する大量の軽石を撤去していくショベルカー=29日午後1時13分、国頭村(小型無人機で大城直也撮影)

 沖縄県内各地に大量に漂着した軽石の撤去作業が29日に始まった。国頭村の辺土名漁港では、県が発注した業者が重機で海面を覆う軽石を取り除いた。伊江村やうるま市では地元の自治体職員や漁業者が、浜に打ち上げられた軽石を手作業で集めた。国頭村安田でも近く業者による撤去が始まるほか、被害が大きい仲尾次(名護市)、新里(本部町)、運天(今帰仁村)、久高(南城市)の各漁港での撤去へ、県は国との手続きを進めている。

 県によると28日に恩納村、浦添市、糸満市、伊平屋村などの合計16漁港で新たに軽石の漂着が確認された。27日までに漂着が確認された漁港のうち、名護市汀間、南城市海野など4カ所では海面の軽石が消えた。波に流され移動したとみられる。

 国頭村の辺土名漁港と安田漁港の撤去作業について、県は28日に業者と契約を結んだ。工期は両港で合わせて来年1月26日まで、契約額は約7464万円。水産庁の災害復旧事業が適用され、国が8割負担する。

 辺土名漁港では29日午前、国頭漁業協同組合や村の関係者が見守る中、撤去作業が始まった。先端のかごの部分に網を付けたショベルカーが海面を覆う軽石をすくい上げた。軽石はいったん港内に仮置きして、村内の県所有地に運んで保管する。

 うるま市は、被害が大きい与那城と勝連の両漁業協同組合に軽石を撤去するための1トン袋を計100枚配布した。浜、池味の各漁港の海岸で漁業者らが回収作業を続けている。

 伊江村では役場職員のほか村議や農家ら約100人が、伊江ビーチの約2キロにわたる海岸で軽石の回収作業を行った。職員らはスコップやレーキなどで軽石を集め、重機に載せた。

 岸田文雄首相は29日、鹿児島市の街頭演説で、軽石の漂着を巡り「28日に対策会議を開催し、災害復旧、軽石の除去、漁業被害に対する共済制度の活用などを確認した」と述べた。