【記者解説】衆院選沖縄3区 島尻氏の勝因、屋良氏の敗因は?


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当選の弁を述べる島尻安伊子氏=31日午後11時22分ごろ、沖縄市美里の選対本部

 沖縄3区は、自民新人の島尻安伊子氏が立民前職の屋良朝博氏に勝利し、2019年補選で敗れた雪辱を果たした。島尻氏は公明党とのセット戦術をより一層強化したことで、推薦した企業・団体が組織戦を徹底し、逆風をはね返した。「オール沖縄」の議席を守れなかった屋良氏は、各地域の組織体制の弱さを克服できなかった。

 島尻氏は補選で敗れてからの2年半、各市町村の有力者らを理事に置いた後援会と毎月意見交換を実施するなど、草の根活動で支持を広げた。選挙戦では前首相の菅義偉氏が応援に駆け付けるなど、中央政界とのパイプや元沖縄担当相の実績もアピール。選挙区内14市町村のうち10市町村の首長が支持を表明した。

 当初は公明党の支持母体・創価学会の動きは鈍かったが、終盤にかけて選挙区と比例のセット戦術を浸透させた。

 辺野古新基地建設反対を掲げるオール沖縄の後押しを受ける屋良氏は、3区の議席を引き継いだ玉城デニー知事が再三応援に入るなど、街頭で政権交代の訴えを強めた。だが、無党派層の支持を広げきれず、体制構築の出遅れが最後まで響いた。
 (喜屋武研伍)


子の夢かなう社会へ 島尻氏

 コロナ後の経済をどう立て直すか、多くの有権者の関心があった。与党として国と連携を取り、政策を進めていきたい。子どもたちの夢をかなえられる社会にするため教育、福祉、女性政策も含めて取り組む。前回、その前の選挙から普天間飛行場の危険性除去が第一だと話してきた。(有権者に)大変重い判断をいただいた。(選挙戦で)辺野古について「何も言わなかった」という批判もいただいたが、全くそうではないと思っている。沖縄振興特措法は、しっかりと県民に納得いただける法律に変えていかねばならない。

経済落ち込み辺野古届かず

 屋良朝博氏の話 約2年半前の県民投票では、名護市辺野古の新基地建設反対の民意を示した。今選挙でも反対を訴えたが、力が足りなかった。コロナ禍で地域経済が落ち込む中、辺野古の問題を一つ取り上げて訴えることは難しかった。