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衆議院選挙沖縄選挙区のこの結果は辺野古新基地建設を止めることへの県民意志は未だ強い半面、コロナ禍で傷ついた経済を立て直すために政権与党の力が頼られたということである。
「オール沖縄」は保守や経済界も、辺野古反対に結集したことが国政にも衝撃を与え、米国のみならず多くの外国の関心も集めた。「基地のない沖縄」を掲げてきた県内革新勢力は、大田昌秀元知事を最後に、県知事選で勝てる票を持たなかった。
翁長雄志前知事が構築した「オール沖縄」の枠組みは、保守の政治家や経済界のリーダーが加わったことで「イデオロギー偏重で経済に弱い革新」という印象から、「新基地建設に反対することは経済を犠牲にすることではなく、県内保守層も巻き込んだ幅広い意志を県政を通じて実現できる」との期待をもたらした。
翁長前知事の急逝を受けて、玉城デニー氏が県知事選で圧勝した2018年には、まだこの枠組みへの期待が活(い)きていた。
翁長氏の命を懸けた最期が県民を強く動かした。だが、保守政治家の離脱や退潮、経済人の離脱と自民支持が続き、その枠組みが弱体化してきた結果が「オール沖縄」の2議席である。
辺野古の工事を止められていない現状は、国の安全保障政策にあらがうことの困難さを県民に突きつけ、コロナ禍で傷んだ経済の立て直しには「国の力を」と考えた県民が多かったのは間違いない。
今後の県内政治は「オール沖縄」勢力が再編成を成し遂げられるか、具体的で説得力のある経済再興の方向性を示せるかにかかる。一方で、自公勢力が辺野古をどうするのか、反対を掲げ続ける公明党沖縄県本部の立場が尊重されるのか、破棄されるのかに係るだろう。
自公両党は、県民が本来は望まない辺野古の新基地建設を、その意志を実現できる政党がなく、また、「金」のために不本意ながら受け入れるという形で終結させることの歴史的打撃への責任を負えるのだろうか。
(政治学)