経済回復「一日も早く」 県経済界、衆院選受け期待


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 新型コロナウイルス感染症の影響で疲弊した経済の立て直しが主要な争点となった衆院選は、自民党が改選前より議席を減らしたものの、自公で絶対安定多数を確保するなど、岸田政権の継続が選択された。県経済界からは「経済対策を一日も早く実行してほしい」と求める声が上がった。

 県経営者協会の金城克也会長は、与党で絶対安定多数を占めた結果に「安定した政治基盤の下、強いリーダーシップを発揮し、今後の経済再生、V字回復を図ってほしいという期待の表れと考えられる」とし、有権者が経済回復に期待を込めたと分析した。

 来年5月には復帰50年を迎え、次期沖縄振興計画の議論は今後大詰めを迎える。金城会長は「次期振計の実施に必要な高率補助、一括交付金、沖縄振興税制などの制度や沖縄公庫の存続を強く望みたい」と求めた。

 県商工会連合会の米須義明会長は「経済立て直しが県民の最大の望みで、争点になった。裏返せば、現在の状況がそれだけ厳しいということだ」と指摘した。新規感染者の数は落ち着いているが、新型コロナの影響は当面続くとして「中小企業が立ち直るにはしばらく時間がかかる。雇用調整助成金や月次支援金などの支援は息長くやってほしい」と要望した。

 当初はサービス業に比べコロナ禍の影響が薄かった建設業だが、最近では住宅建設を中心に民間工事の受注が減少傾向にあるという。県建設業協会の津波達也会長は「沖縄の交通インフラはまだまだなところが多い。毎年しっかり整備すれば、地域の活性化となり、民間投資も呼び込める」と公共投資の充実を望んだ。若年層を中心に経済対策を求める人が多かったとみて「沖縄で働いて暮らしたいという若い人の思いが、(与党への)投票につながったと思う」と話した。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、新型コロナの影響を受ける沖縄観光の振興に向け、短期的な経営支援策や観光需要の喚起策に加え、運休する国際線の再開に向けた長期的な取り組みを求めた。

 「国際線による観光の再開条件を国がしっかり打ち出さないと、航空各社も動きようがない。特に検疫が課題となる。再開に向けた条件整備を国に考えてほしい」と要望した。