【当選7氏座談会】辺野古や憲法改正の立場は? 国会活動への意気込み <衆院選2021>


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「超短期決戦」となった衆院選を終え、国会での活躍を誓う7人=1日午前、那覇市泉崎の琉球新報社

 琉球新報社が1日に開いた衆院選当選者座談会には、沖縄4選挙区と比例代表九州ブロックの当選者7人が出席した。新型コロナウイルスの影響からの経済立て直しや、日本復帰50年を迎える2022年度以降の沖縄振興、米軍基地問題の解決といった課題への意気込みを語ったほか、改憲や知事選を控える来年の各選挙への展望など、多岐にわたるテーマについて意見を出し合った。
 (敬称略、’21衆院選取材班)


■辺野古

軍事的合理性はない 新垣氏
国防視点で移設容認 島尻氏
原点に戻り再度議論 金城氏

 ―米軍普天間飛行場の返還・移設と名護市辺野古の新基地建設問題に対する立場を伺う。

 金城 普天間飛行場の危険性除去を目的に移設が始まった。県外移設が望ましいが、原点である危険性除去がないがしろにされてはいけない。普天間の危険性という原点について、もう一度しっかりと議論しながら一歩でも解決に向けて前に進めたい。

 新垣 以前から辺野古移設は反対だ。辺野古に(新基地を)造る軍事的な合理性はもうない。県民の民意は7割以上が反対だと思っている。考え直す時期に来ているのではないか。膨大な予算と長い年月を掛けて造る必要性が本当にあるのか検証すべきだ。

 島尻 普天間飛行場の(辺野古)移設は、ずっと容認の立場だ。普天間飛行場の危険性除去が第一だ。あの美しい海を埋め立てたいと思っている人はいないが、日本を取り巻く防衛の条件は厳しさを増している。国防という視点から考えても(移設)容認だ。

 西銘 国際安全保障環境は極めて厳しい。県民が一番念願する平和状態を維持するには、日米同盟が基軸となる。飛行場を縮小して辺野古に移設する以外に(危険性)除去の手だてはない。安全保障環境を整える上でも辺野古に移設するべきだ。

 宮崎 危険性除去を一番に考えていかないといけない。命どぅ宝だ。危険性除去に最善を尽くすことが命に対して誠実な政治の在り方だ。安全保障環境の変化や、緊張の高まりなども考慮しないといけない。一定の立場に固執せず、現実的に前へ進めていく。

 国場 普天間問題の本質は何か。一日も早く具体的に移す方法は、現行案しかない。民間活用も考えていく必要がある。金秀グループの呉屋守将会長が言っていた事が的確だと思う。基地反対は当然だが、今はもう次の段階に移っているということだ。

 赤嶺 国際法に違反して造られた飛行場に移設条件を付けられ、新基地を造ろうとする日本政府は対米従属で情けない。海面下90メートルの軟弱地盤の改良は技術的に不可能だ。県民の民意も強く示されている。本島南部の土砂採取も含めてやるべきではない。


■憲法改正

改憲は国民の声無視 赤嶺氏
緊急事態条項重要に 国場氏

 ―与党が絶対安定多数を確保した。改憲も重要な政治課題になってくる。

 宮崎 現在の憲法は1945年に戦争が終わった後に帝国議会で制定された。その議会に沖縄県民は代表者を送れなかった。現行憲法は国民主権の憲法だ。賛否はさておき、意思を表明する機会は担保されるべきだ。私は改正手続きに入るべきだと思う。

 国場 国民の良識と冷静な判断を信じて、憲法改正を問うべきだ。緊急事態条項が非常に重要だ。特に自然災害や感染症などの危機を乗り越えるために必要だ。私権制限などの問題もあるが、むしろ超法規的な対応を取らざるを得ない場合が一番危険だ。

 金城 自公で絶対安定多数の議席を占めたことは、国民の期待の表れだと受けとめている。ただ慢心はせずに謙虚に政権運営をするべきだ。憲法改正は、公明党としては現行憲法に新たに環境権やプライバシー権を追加する「加憲」が必要との認識だ。

 赤嶺 改憲は国民の声ではない。一部の権力者が、権力を縛るためにある憲法を自分の権力を強化するために変えようとしている。今回野党共闘が成功しなかったとは言え、(自民党の)甘利明幹事長が落選するなどほころびも出た。今後も野党共闘で政権交代を目指す。

 新垣 ふたを開けてみたら与党の安定多数で終わってしまった。ただ、県民、国民は安倍、菅政権の中であったさまざまな問題に対する説明責任や責任の取り方を非常に危ぶんでいる。国民の声をしっかり聞いてほしい。憲法改正で国民理解を得るのは難しい。

 島尻 有事のコロナ禍で、有権者は政治の安定が必要だと感じたのだと思う。憲法改正は自民党のテーゼだ。今回、絶対的な議席を得たので、いよいよ国民に対して議論を起こしていくべきだ。沖縄の次のステージを考えても真正面からの議論が必要だ。

 西銘 (野党共闘により)全国でも沖縄のように一対一の構図となり、厳しくなるとみていたが、最小限の減少に食い止めた。憲法は「不磨の大典」ではない。強行する必要はないが活発な議論は必要だ。私は自衛隊の位置づけを明記する必要があると思う。


■抱負

沖縄発展が国を牽引 西銘氏
暮らし立て直し急務 宮崎氏

 ―当選の抱負と意気込み、取り組みたいことは。

 島尻 子どもの夢がかなう沖縄こそ県民にとって幸せな沖縄だと訴えてきた。復帰50年の節目に、次の沖縄振興計画に社会開発の柱を組み込みたい。沖縄3区が振興のエンジンになるよう頑張りたい。

 西銘 わが国全体の課題が沖縄に凝縮して表れる。ウチナーの良さを生かし、なりわいが立つようにしていく。沖振法も沖縄の発展がわが国を牽引(けんいん)していくという文言が出ているのでその方向で頑張りたい。

 宮崎 コロナで傷んだ沖縄の経済、社会、県民の暮らしを立て直すことが急務だ。観光を柱に、労働分配率の向上を法人税減税によって実現していく。新しい振興計画では人材育成も強くやっていきたい。

 国場 外務大臣政務官の時にも、日本外交に万国津梁の精神を注入したいと言ってきた。日本が世界からかけがえのない存在として尊敬され、県民が自信を持てる、誇れる沖縄をつくっていきたい。

 金城 白保台一氏以来16年ぶりのウチナーンチュの(公明党)国会議員として、思いを引き継ぐ。障がいを持つ子の親の立場から、障がいのある人もない人も安心し希望を持ち生きる社会づくりを目指す。

 赤嶺 1区の7島ではサトウキビをはじめ農業、水産業の振興を頑張りたい。那覇市内は中小規模の事業者が集中している。コロナで傷ついた業者に持続化給付金、家賃支援給付金をもう一度やりたい。

 新垣 ウチナーンチュの尊厳を守ることを大事にする。地方自治を長くやってきた。地方や自治体の声は非常に重要だと感じる。2区は米軍基地の爆音の問題もある。代弁者として声を国政に反映したい。


<当選者座談会出席者>

 【沖縄選挙区】
◇1区・赤嶺政賢氏(73)=共産前職
◇2区・新垣邦男氏(65)=社民新人
◇3区・島尻安伊子氏(56)=自民新人
◇4区・西銘恒三郎氏(67)=自民前職

 【比例代表九州】
◇国場幸之助氏(48)=自民前職
◇宮崎政久氏(56)=自民前職
◇金城泰邦氏(52)=公明新人