自民が沖縄全県で躍進 小選挙区の投票結果を分析<衆院選2021>


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 10月31日投開票の第49回衆院選で、県内4選挙区は玉城県政を支える「オール沖縄」勢力の2勝、自民の2勝となった。自民が小選挙区で複数議席を獲得するのは2012年以来で、得票数も全県で伸ばし、躍進した形となった。比例代表は自民とセット戦術を展開した公明党が県内で過去最多となる13万票近くを獲得。確定した投票結果と、共同通信社が実施した投開票日の出口調査の結果を照らし合わせたところ、政権与党の自公、野党が支援したオール沖縄の、それぞれの得票傾向が浮かび上がってきた。 (文中敬称略)
 (’21衆院選取材班)

<1区>前回衆院選と傾向変わらず

 前職3人が三つどもえの戦いを繰り広げた沖縄1区は、赤嶺政賢(共産)が6万1519票を獲得し、3回連続で選挙区当選した。有効投票に占める得票率は赤嶺が42.2%、国場幸之助(自民)が37.4%、下地幹郎(無所属)が20.4%で、2017年の前回衆院選と大きな差はみられなかった。

 共同通信が実施した当日出口調査によると、赤嶺は女性の5割近くから支持を得たほか、支持政党を持たない無党派層の5割以上が支持した。政党別では、立民支持層の7割、共産の9割超、社民の8割近くから支持を得た。国場は自民の7割近く、公明の6割近くから支持を得た。下地は自民、立民、公明からそれぞれ2割程度の支持を得た。

<2区>町村は新垣氏 浦添は宮崎氏

 沖縄2区は、新人の新垣邦男(社民)が前職の宮崎政久(自民)を振り切り、事実上の一騎打ちを制した。得票率は新垣が47.4%、宮崎が41.0%。維新新人の山川泰博も9.7%の票を獲得した。

 地域別では、票田の宜野湾市は激しく競り合った末に新垣が105票の僅差で勝利した。浦添市は宮崎が約2千票差をつけたが、その他の6町村は新垣が大きな差をつけた。出口調査によると、男性は宮崎、女性は新垣の支持が高かった。年代別では20~40代は宮崎、10代と50代以上は新垣の支持が高かった。

<3区>雪辱の島尻氏 12市町村制す

 沖縄3区は19年補選と同じ顔ぶれとなり、新人の島尻安伊子(自民)が前職の屋良朝博(立民)に雪辱を果たした。今帰仁、大宜味の両村を除く12市町村で島尻が制し、幅広い地域で浸透したことがうかがえる。ただ、大票田の沖縄市は35票の僅差で激しく競り合った。

 出口調査では男性は島尻、女性は屋良を支持する傾向がみられた。年代別は50代以下で島尻、60代以上で屋良の支持が高かった。

<4区>宮古島.南風原 西銘氏が勝利

 沖縄4区は、現職の沖縄担当相として選挙戦に臨んだ西銘恒三郎(自民)が、新人の金城徹(立民)に1万5640票差をつけた。選挙区内の全11市町村で西銘の得票が上回った。前回はオール沖縄候補に3千票差をつけられた南風原町で逆転。焦点の宮古島市も約4600票差をつけた。

 出口調査によると、西銘は60代以下の全ての年代で上回り、70代以上だけは金城への支持が高かった。金城は女性からの支持も高かった。政党支持別で西銘は自民の9割、公明の8割の支持を固めており、「選挙区は自民、比例は公明」のセット戦術が浸透した。