新たな軽石流入も…撤去作業始まっても「まだ漁に出られず不安」 県内各地の様子


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(上)軽石が撤去された国頭村の辺土名漁港=2日午後3時30分ごろ(下)撤去前、海面を覆い尽くす軽石=26日午後0時40分ごろ、国頭村の辺土名漁港

 【南城・国頭・うるま】大量に漂着している軽石について県は2日、南城市知念・久高島の徳仁港で撤去作業を本格的に実施した。10月29日に撤去が始まった国頭村の辺土名漁港では約600立方メートルを回収し、3日からは同村安田漁港での作業も始まる。一時は海面が全く確認できなかった漁港でも県や漁業関係者らの作業で大幅に減少し、航行が可能となっている所もあるが、依然として流入が続いている地域もある。「まだ漁に出られる状態ではなく、不安だ」と切実な声が漏れる。

 徳仁港では、県の委託業者が2隻の小型船を出し、手持ち式の水網で撤去作業を実施。流入防止の汚濁防止膜も設置した。約2週間で完了の見込み。同港では軽石の影響で10月30日にフェリーと高速船が全便欠航したが、島民による撤去作業が進み、11月1日から高速船を中心に運航が再開した。

 徳仁港近くの久高漁港も軽石が押し寄せており、モズク漁や潜り漁を営む糸数祐真さん(26)は、「しばらく漁に出ていない。初めての体験で、この先どうすればいいのか。不安でしかない」と語った。

(上)軽石が撤去されたうるま市勝連の浜漁港のスロープ。軽石が入ったフレコンバッグが置かれていた=2日(下)軽石の撤去を行う浜漁港の関係者ら=10月23日、うるま市勝連の浜漁港(提供)

 辺土名漁港では除去作業が進み、海面が見えるまでになった。汚濁防止膜の設置で大量流入は避けられているが、まだ流れ込むこともあり、膜を二重に設置した。地元漁師の山城善勝さん(77)は軽石の減少に安心する一方で「沖にもたくさん残っているので今年の漁はもう諦めている。お金を借りないと生活できない」と肩を落とした。

 モズク漁が盛んなうるま市勝連の浜漁港では、1週間前に比べ、流入量は大幅に激減したものの、海面に微量に浮かんでいる。あるモズク漁師は「エンジントラブルがあったら困るので、まだ出漁できる状態ではない」と話した。