紙芝居でうちなーぐち継承 SNSでつながった3人が結成、沖縄市「チリミ会」


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黒板の前でうちなーぐちの紙芝居を披露する(右から)仲吉信勝さん、青木勝志さん、比嘉隆夫さん=10月21日、沖縄市の宮里中

 【沖縄】多くの学校で取り組まれている始業前の読み聞かせ時間を活用して紙芝居でうちなーぐちを伝える活動をしているグループがある。うちなーぐち継承に強い思いを持つ沖縄市の「チリミ会」だ。10月21日、宮里中学校(前幸三校長)でその紙芝居を披露した。

 チリミ会は2年前、SNSで知り合った保護司の仲吉信勝さん(58)=沖縄市、民宿経営の比嘉隆夫さん(62)=北中城村、聴覚障害のある青木勝志さん(68)=沖縄市=の3人で結成。仲吉さんは宮里中のPTA会長の経歴もある。

 元々うちなーぐち紙芝居に取り組んだのは仲吉さん。「子どもたちに関心を持ってもらうには紙芝居仕立てが良いのではないか」と思い立ったのがきっかけ。「鶴の恩返し」と「浦島太郎」の童話を自ら作画し、2008年から市内の小学校に働き掛け、読み聞かせの時間に足を運んだ。

 「私たちは方言で育った世代。うちなーんちゅの優しい肝心(ちむぐくる)が染みるうちなーぐち、黄金言葉(くがにくとぅば)がたくさんある。それを途絶えさせるわけにはいかない」との共通の思いで3人は意気投合。チリミ会の活動を含め、回った市内の小中学校は10校を超えた。

 宮里中での紙芝居は初めて。3年1組で約20分間、「鶴の恩返し」を仲吉さんがうちなーぐちで語り、場面ごとに日本語で説明。また展開に沿って青木さんが手話を使って小道具で演技し、手話が堪能な比嘉さんが青木さんの手話を解説した。

 真剣なまなざしで聞き入った生徒たち。図書委員の古波津杏佳さんは「方言は難しかったが、あいさつ言葉からでも使ってみたい」と初体験の感想を述べた。

 仲吉さんは多くの学校に紙芝居を届けたいと意欲を見せている。

 前校長は「3人の熱い思いは生徒に伝わったのでないか。手話に接する機会にもなった」と感謝し、活動に期待を寄せた。
 (岸本健通信員)