1万人から約7600万円…ひめゆり資料館に寄付広がる 普天間館長「胸がいっぱい」


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県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団の仲程昌徳理事長(右から2人目)に寄付金を渡す沖縄南部観光協力会の宮里耕平会長(中央)=10月26日、糸満市伊原のひめゆり平和祈念資料館

 【糸満】新型コロナウイルスの感染拡大で入場者が激減し、厳しい運営状況が続くひめゆり平和祈念資料館を、支援する動きが広がっている。4月からこれまでに、1万人近くから約7600万円の寄付が集まった。10月26日には南部観光協力会の宮里耕平会長らが同資料館の普天間朝佳館長らを訪ね、10万円を寄付した。

 同協力会は会員21団体のほとんどが観光関連産業に従事する。宮里会長は「(資料館は)南部観光で重要な場所だ。これをきっかけに寄付の動きが広がってほしい」と願った。

 新型コロナの影響で、ひめゆり平和祈念資料館の2020年度の来館者は、19年度比で8割減となった。同資料館では入場料が運営費の8割を占める。6月にツイッターで「経営上の危機」を訴え、寄付を呼び掛けた。

 普天間館長は「額の大きさと人数の多さにびっくりした。多くの人が資料館をなくしてはならない大切な場所だと感じていると思うと、胸がいっぱいだ」と感謝した。

 県外からの寄付が多く、メッセージも多数寄せられた。修学旅行で同資料館を訪れた福岡県のM・Kさんは、「自分とほとんど年の変わらない10代の女の子たちの手記を読んだ衝撃は忘れられません。後世まで残ってほしい、触れるチャンスを失ってはならないと思います」とつづった。

 新潟県の中学生は「ツイッターを見たら今僕にできることがあると考えました。大変な時期ですが、頑張ってください」とエールを送った。

 修学旅行など団体の入館状況は本年度も見通せないという。新型コロナの感染が再拡大したら、キャンセルが増える可能性もある。同資料館では引き続き寄付を受け付けている。