軽石漂着、30市町村に 漁船100隻エンジン異常、出漁自粛は1206隻


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 県は8日、軽石問題の第2回緊急対策会議を開き、2日時点で軽石による漁船のエンジントラブルは100隻、軽石を原因とする出漁自粛が登録漁船の39.9%に当たる1206隻となったことを報告した。6日までに漂着が確認された海岸のある市町村は、海岸に面していない南風原町を除く40市町村中30市町村に上り、広範囲な被害が確認された。

 会議には玉城デニー知事や県幹部らが出席し、環境、文化観光スポーツ、土木建築、農林水産の各部から被害や対応について報告があった。

 農林水産部では養殖・蓄養魚の斃死(へいし)がスギ15尾、グルクマ約500尾あったと確認した(2日時点)。モズクは漁船のエンジントラブルへの恐れから養殖網を海に張り出す作業ができず、ヒトエグサ(アーサ)は海中の養殖網が軽石で埋まっている地域もある。今後、多様な補償制度の適用を検討するとした。

 観光関連ではダイビングのキャンセルが73件、181人以上あり、遊泳制限やマリンレジャーの提供中止が7件、グラスボートツアーのキャンセルが9件のほか、フォトウエディングの場所変更、修学旅行の日程変更などもあった。

 除去作業は、漁港や港湾は農水省と国交省の災害復旧事業で、それ以外の海岸は環境省の補助金で処理を進めていることを報告した。国が保有する海面清掃船の派遣を問い合わせているが、5日に派遣された与論島でもまだ作業が始まっておらず有効性は不確実だという。

 玉城知事は「不安はますます大きくなっている。除去と支援へ各部内での取り組みが進んでいるか確認してほしい」と指示した。