健康食品原料の製造・開発を手掛けるセルメディカ(大阪、谷口礼昂社長)はこのほど、オキナワモズクなどに含まれる色素で、人に有益な作用があるとされる「フコキサンチン」の大量生産に成功した。生産は沖縄県うるま市内の工場で取り組んでおり、従来より半値以下での供給が可能となった。既に企業数社との提携を進めており、3年後に月産100キロ、年商50億円を目指している。
フコキサンチンはオキナワモズクなど褐藻類に含まれる抗酸化力のあるカロテノイドの一種。抗腫瘍、抗肥満、抗炎症作用などがあるとされ、世界市場規模は1千億円に上るとされる。
ただ、海藻類から抽出される量は少なく、大量生産で採用される光培養では広い面積や安定した日照環境が必要となり、設備にコストが掛かる。そのため、最大の生産国・中国の原料は1キロ当たり10~20万円と高額で取引されている。
セルメディカは「従属培養」として、金属タンクに栄養素と植物プランクトンを入れ、海水を満たし密閉する方式を採用。19年にうるま市に開設したプラントで、10トンタンクで1カ月に10キロのフコキサンチンを生産することに成功した。
同社によると、従属培養による大量生産は世界初。製造コストが抑えられ、中国産より安価で安定供給が可能となった。
また、安全性や機能性を明確にするため、「肥満気味の方のおなかの脂肪を減らす機能」として、フコキサンチン関連では国内初となる機能性表示食品の届け出が4月に受理された。商品は22年の発売を目指す。届け出には県の健康食品ブランド化推進強化事業を活用し、県健康産業協議会などの支援を受けた。
11日、県庁で開いた会見で谷口社長は「沖縄の海水は栄養価が高く、フコキサンチンの生産に最適だ。今後も設備を拡張して、沖縄から世界へ供給できるようにしたい」と語った。