「沖縄が再び捨て石に」 自衛隊演習の民間港使用に住民憤り


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 自衛隊が民間港などを使った演習を計画していることが明らかになり、訓練予定地周辺で暮らす住民からは「沖縄が再び捨て石にされる」「武力ではなく平和外交に力を入れてほしい」と批判が上がった。

 本部町の八重岳は「電子戦」の訓練が予定される。沖縄戦中に八重岳周辺で激しい戦闘に巻き込まれた、元県知事公室長の高山朝光さん(86)は「戦前も八重岳付近に大型の電波探知機が設置されていた」と証言する。

 「八重岳は桜が咲いて平和の里になっているが、再び軍事基地化するのではないか」と懸念した。「沖縄は平和を目指すべきだ。脅威論ではなく中国との平和外交などを強化すべきだ」と訴えた。

 本部港塩川地区で、監視活動を続ける本部町島ぐるみ会議の原田みき子さんは「悲惨な戦場だった八重岳で戦争を想定した訓練をするのはありえない。なぜ町は使用を許可したのか」と疑問視する。「沖縄を再び捨て石にするつもりなのか」と憤った。

 「民間港使用に反対だ。国際的な緊張が高まる」と不安視するのは、石垣島への陸上自衛隊配備計画に反対する「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」事務局の藤井幸子さん(73)。「中国に目を向けることは分かるが、リスクを背負うのはわれわれ島民だ。日本の外交が問われている」と述べた。

 うるま市具志川九条の会の宮城英和事務局長(72)=同市=は「台湾有事が取りざたされるが、武力で向き合えば沖縄戦と同じように標的にされる。日米の防波堤にされてしまう」と危機感を抱く。

 全港湾沖縄地方本部の山口順市執行委員長は「気分はよろしくない。(情報がなく)怖い。石垣のメンバーと対応を話し合いたい」と語った。