「密じゃない」沖縄でゴルフ人気上昇 コロナ前超す入場者 県民優待も後押し


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密を避けてゴルフを楽しむ人々=10日、南城市玉城の琉球ゴルフ倶楽部

 新型コロナウイルスの世界的な流行が長引く中で、「密」を避けられる交流の形として、県内でゴルフの需要が伸びている。りゅうぎん総合研究所の調査によると、県内主要ゴルフ場の入場者数はコロナ前を上回っており、緊急事態宣言中の今年8月は2019年同月比で2・9%増、9月は同18・3%増で推移している。内訳は観光を兼ねた県外客が減り、若い人を中心に県内客が増加傾向という。

 一方、売上高でみると8月は19年同月比17・5%減、9月は同4・5%減となっている。沖縄への観光客が減少していることに伴う集客のため、料金値下げなどで客単価が下がっている傾向がある。りゅうぎん総研の担当者は「各ゴルフ場の県民向け優待プランなどが入場者数増加につながっている」と話す。

 那覇ゴルフ倶楽部(八重瀬町)は、外出自粛が緩和された昨年10月ごろから、初心者向けのショートコースの利用者が増えており、入場客数はコロナ前の4割増となっている。主に30~40代が増え、本年度からメンバーの紹介であれば利用料を半額程度にするなど大幅値下げを実施したことも利用者増加につながった。

 同俱楽部の支配人は「(飲み会など)夜の付き合いがほぼできない中、ゴルフでの親交が増えたのではないか」と話した。

 ゴルフ用品専門店のゴルフエイド(浦添市)には、新たな客層として20代のゴルフ初心者の来店が増えた。これまで客層の中心であった50~70代は、コロナ下でゴルフを控える傾向も強いという。

 ボールや小物などの消耗品は売れ行きが良いが、ゴルフクラブなどの主要商品は初心者は借り物を使う人が多いといい、同店の代表者は「ゴルフ利用者の分母は増えているが、小物の単価は低いので売り上げ自体はそんなに伸びていない」と話した。

 一方、県外客の利用も多い琉球ゴルフ倶楽部(南城市)は値下げしない方針を貫いたため、往来自粛の影響を避けられず厳しい状況が続いた。緊急事態宣言が明けた10月からようやく客が戻り始め、土日祝日に関しては来年3月まで予約が埋まっているという。10月の入場者数は前年同月比32%増となり、担当者は「コロナ前よりも仕事が忙しい」と話した。 (中村優希)