飲食店の客足徐々に回復 県独自措置終了2週間 観光、好転に時間も 新型コロナ


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修学旅行で沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパを訪れる京都女子高等学校の生徒ら=15日、恩納村名嘉真

 新型コロナウイルス感染防止に関する県の独自措置が10月末までで終了し、飲食店などの営業時間短縮の規制が全面解除となって15日で2週間が経過した。飲食店の利用客が多くなり、「最悪の状態からは抜けられた。年末に向けてさらに伸びると思う」(酒販店経営者)と街ににぎわいが戻りつつある。一方で、沖縄や北海道など遠隔地への旅行について、政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」の開始を様子見している全国的な傾向があり、沖縄観光の回復にはもうしばらくの時間がかかりそうだ。

 那覇市内の酒販店では、飲食店向けの泡盛などが好調で、10月と比べ売り上げが2~3割増加している。週末を中心に飲食店では客足が徐々に戻りつつあるが、地域によって回復速度に差が出ている。

 県飲食業生活衛生同業組合の調べでは、北谷町の繁華街では新型コロナ以前と比較して客足の7割が戻っているが、那覇市の国際通りは3割程度にとどまる。同組合の鈴木洋一理事長は「県内全域で経済回復を目指すためにも、ワクチン接種証明などの効率的な活用が必要だ」と述べた。

 飲食店の夜間営業が再開したことで、県ハイヤー・タクシー協会によると11月のタクシー売り上げは前年並みまで回復する見込みという。15日には県内の新規感染確認者が約1年4カ月ぶりのゼロとなったこともあり、東江一成会長は「外出するマインドも高くなる」と期待する。

 沖縄かりゆしビーチリゾートオーシャンスパ(恩納村)は15日、京都女子高校から約300人の修学旅行を受け入れた。11月は15校から予約を受けていたが、緊急事態宣言中にキャンセルが相次ぎ、実施予定は3校のみとなった。かりゆしの玉城智司社長は「この状況で来てくれるのはとてもありがたい。修学旅行の沖縄観光への貢献度は大きい」と話した。

 県ホテル協会によると、9月末まで続いた緊急事態宣言中の客室稼働率は20~30%程度で推移していた。10月以降は30~40%程度と若干上向いているものの、まだ動きは鈍い。航空需要は思うように回復しておらず、「Go To トラベルキャンペーン」の開始待ちとの見方もある。

 主要航空会社は減便を続けており、11月の航空予約人数は2019年比で5割を切っている。航空会社の担当者は「昨年のこの時期は調子が良かったが、今年はまだ弱い。予約が伸びるのはGo To トラベルが始まってからになるかもしれない」と話した。