北谷町長選告示 候補者3氏の訴えたい政策は? 21日投開票


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(左から)仲栄真恵美子氏、阿波根弘氏、渡久地政志氏

 21日投開票の北谷町長選が16日告示された。同日午前の段階で、いずれも前町議で無所属新人の仲栄真恵美子氏(69)、阿波根弘氏(63)、渡久地政志氏(42)が立候補を届け出た。出馬前の3氏に訴えたい政策などについて話を聞いた。(聞き手・砂川博範)


 

仲栄真恵美子氏 農園整備し雇用確保

仲栄真 恵美子氏

 ―争点は何か。

 「建設が予定される町立博物館についてだ。今は新型コロナウイルス対策に力を入れるべきで、博物館は逃げないから、景気回復の見通しが立ってから考えた方がいい。みんながコロナで困っている時に、財源を箱物に使っていいのかとの思いがある。まず町民に寄り添い、命と暮らしを守ることを優先すべきだ」

 ―新型コロナウイルス対策は。

 「困窮世帯やひとり親世帯などへの食料支援をしていく。コロナ禍で自宅療養者、待機者が多く出たが、改めて地域コミュニティーの希薄さを感じ、地域で見守ることが重要だと強く思った。行政がリードして住民同士が支え合う社会づくりをする」

 ―経済振興について。

 「砂辺区には、使われていない無願埋め立て地と国有地がある。そこに農園や果樹園をつくり、収穫した作物で町の特産品開発ができないかと考えている。若者や女性、高齢者など町民の雇用機会の確保にもつながる」

 ―教育や子育てはどうか。

 「子育て世代が町外に転出している。(ハンビー地区や美浜地区など)西海岸側の地域が発展したことで、町の地価が上がった。家賃が高く、若い世代が住み続けられない。町営住宅の整備が必要だ」

 「教育について、北谷町の小学校は教室と廊下を隔てない『オープン教室』となっているが、子どもが授業に集中できないなどの声がある。開け閉めが可能な壁の後付けを進める」

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 なかえま・えみこ 1952年3月生まれ、町上勢頭出身。東京成徳短期大卒。2010年の町議選に初当選し、現在3期目。


阿波根弘氏 文化芸能の拠点必要

阿波根 弘氏

 ―争点は何か。

 「しがらみがない分、私は思い切った行政改革など大きな町政刷新ができる。野国昌春町長の後継候補なら、それが難しい。23年間の政治実績を持ち、国との間に太いパイプがあるからこそ、予算の確保や国との迅速な連携も可能となる。現町政の継承か刷新かが争点の一つだ」

 ―新型コロナウイルス対策は。

 「感染拡大時は入院できない人たちがいた。これから第6波が来るかもしれない。その際、家庭内感染などを防ぐために療養所のような宿泊施設を町が確保する。また現在、町民はPCR検査が無料で受けられるが、それも続ける。困窮世帯やひとり親世帯など疲弊している人たちへの財政支援も必要だ」

 ―経済振興について

 「北谷町には飲食業や観光業が多い。町は新型コロナの影響を受けた小規模事業者への支援金交付を実施したが、状況を見ながら追加支援を検討したい」

 「そのほか琉球舞踊やエイサーなどの伝統芸能・文化をエンターテインメントとして鑑賞できる拠点が必要だ。文化芸能を発信する場が町内にない。これがあれば経済振興につながる」

 ―教育や子育てはどうか。

 「学校給食費や、高校卒業までの子ども医療費の無償化を実現したい。それに加え、町内の住宅は家賃が高いという実態があり、人口減少につながっている。若い世代や働き盛り世代が住み続けられるよう町営団地の建設や家賃補助にも取り組む」

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 あはごん・ひろし 1958年2月生まれ、町桑江出身。沖縄国際大中退。98年に町議選に初当選し、今年11月まで5期16年務めた。


渡久地政志氏 西側の環境整備重要

渡久地 政志氏

 ―争点は何か。

 「4期16年務めた野国昌春町政の継承発展か刷新かだ。辺土名朝一町長の時代から約30年かけて、商業地域のハンビー地区や美浜地区など米軍施設の跡地を利用・開発し、北谷町はこれまで経済発展してきた。その方向性を継承し、発展させていくかどうかが争点となる」

 ―新型コロナウイルス対策は。

 「『コロナ禍からの力強い復興』を掲げており、町内での消費を喚起する。感染拡大防止に努めながら、消費が落ち込む時期を見極め、高還元率のプレミアム商品券を年に2回程度発行することで、経済の活性化につなげる。困窮世帯や高齢者、学生などへの支援は迅速に行う」

 ―経済振興について。

 「ちゃたんニライセンターの表の通りを、(桑江や吉原など)町の東側の経済的な拠点にできないかと考えている。飲食店も立ち並んでおり、この通り一帯を活性化していきたい」

 「一方で(ハンビーや美浜など)町の西側は観光地として有名だが、地元の人が気軽に足を運べるような環境整備が重要だ。駐車場のさらなる確保や、北谷町の新たなシンボルとなるような何かが必要な時期が来たと感じる」

 ―教育や子育てはどうか。

 「貧困の連鎖を断ち切るため、学力の底上げに取り組む。学力が上がれば、その後の人生で仕事の選択肢が増える。意欲や能力が高い子にはチャンスを与えることで、良い人材を育てたい」

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 とぐち・まさし 1979年5月生まれ、町宮城出身。沖縄大卒。2005年の町議補選で初当選し、今年10月まで5期15年務めた。