〈83〉妊婦のコロナ感染 夫とともにワクチンを


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新型コロナウイルスが猛威を振るっています。沖縄県では、2021年9月30日現在、411人の妊婦の感染が確認されています。

 妊婦が新型コロナウイルスに感染した場合、どうなるのでしょう。妊娠が重症化リスクであり、早産となるリスクが高いかもしれません。日本でも妊娠後期の感染で急激に悪化した症例が報告されていますので、妊娠中は、感染予防を常に心掛けてください。

 妊娠中に母親が新型コロナウイルスに感染した場合、胎児にどのような影響があるのでしょうか。妊婦の新型コロナウイルス感染症によって、胎児異常、流産、死産のリスクが高くなる報告は世界的にもないので、過度に心配しないでください。母子感染率は2~4%とされ、感染児の多くは無症状か軽症です。分娩(ぶんべん)前の胎児感染はまれです。日本では、母子感染は1・9%と報告されています。

 COVID―19ワクチン接種が始まっています。妊婦へのワクチン接種はどうなのでしょうか。現時点でワクチンには、胎児に奇形が起こる危険性や胎児や胎盤に障害を起こす報告はありません。2021年8月18日新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受け、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会・日本産婦人科感染症学会が連名で、新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについての情報を更新して公開しています。妊婦が感染する場合の約8割は夫やパートナーからの感染であるという理由から妊婦は時期を問わずワクチンを接種すること、妊婦の夫またはパートナーはワクチンを接種することを勧める内容となっています。

 感染リスクが高い医療従事者、保健介護従事者、重症化リスクが高い肥満や糖尿病など基礎疾患がある妊婦は、ワクチン接種を積極的に考慮してください。

 新型コロナウイルス感染症流行下で、妊婦は不安を感じ、産後うつ病のリスクが高くなっているため、心配であれば保健センターや主治医と相談をしてください。

(金城忠嗣、琉球大学病院、産婦人科)