リゾテック・エキスポきょう開幕 地の利IT技術で向上 実行委員長 稲垣純一氏<焦点インタビュー>


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「技術と経営を結び付けて考えられる担当者の育成を進める必要がある」と話すリゾテックエキスポインオキナワ実行委員長の稲垣純一氏=15日、那覇市銘苅の那覇市IT創造館

 18、19の両日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターでIT技術の国際展示会「リゾテック・エキスポ2021 インオキナワ」が開催される。61の企業、団体が出展し、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済の「グレートリカバリー(大回復)」に向け、デジタル技術活用の可能性を提案する。実行委員長を務める稲垣純一沖縄ITイノベーション戦略センター理事長に、開催の意義などを聞いた。

 ―「リゾート+テクノロジー」というリゾテックの概念は浸透したか。
 「観光分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)と狭く捉えられているきらいがあるが、リゾートには元々『何度も訪れる場所』という意味がある。遊びだけでなく、勉強や体験、トレーニングなどで何回も訪れる所のことだ。ふるさとに準ずる場所、企業にとっては本社に準ずる拠点を遠隔地に求める動きが出てくる」

 「実行委として『リゾテック365』と称し、県内で日常的にDXの実証実験が行われている状態を目指している。その成果をまとめて見てもらえるのがこのイベントだ」

 ―ワーケーションが広がっている。
 「企業は新しいフォーメーション(陣形)を考える上で、地方の可能性を模索する。そのきっかけとしてワーケーションを位置付けていきたい。大規模災害への対応や働き方改革などの従業員の生きがいを考えると、リゾート地の沖縄が果たせる役割は大きい」

 ―コロナ対策は。
 「沖縄で実際に活用できる感染症対策の最先端を導入している。画像認識でマスクをしていない人や体調の悪い人を検出することができるなど、昨年に比べても高度化した。これからのイベントがどうやって安全安心を担保していくかのサンプルとして価値がある」

 ―グレートリカバリーをテーマとしている。
 「大企業はDXを計画的に進めていけるが、県内は中小企業がほとんどで、取り組む余力や情報がないのが実情だ。中小企業の振興に向けて、地に足の着いた具体的なデジタル技術の提案をしていきたい。最先端の追求と同時に、地元経済の足腰を強くすることも忘れてはいけない」

 ―中小企業のDX化で求められることは。
 「まず新しい技術を見て、可能性を体感してもらう。その上で各企業には、先端技術と経営を結び付けて考えられるDXリーダーのような担当者を育成してほしい。技術側がソリューションを押し売りするのではなく、企業側がニーズを自ら発見していくことが重要になる。技術は日進月歩だが、遅れてスタートした方が効率的に、最先端技術を低コストで導入できる側面もある。意識の改革、実行あるのみだと思う」

 (聞き手 沖田有吾)