読谷、悲願の聖地花園へ! コザに45-7 高校ラグビー沖縄県予選


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読谷―コザ 前半、相手ディフェンスをハンドオフでかわし、独走してトライする読谷のCTB松尾息吹=19日、沖縄市の県総合運動公園蹴球場(高辻浩之撮影)

 沖縄市の県総合運動公園蹴球場で19日に行われたラグビーの第101回全国高校大会県予選決勝は、読谷がコザに45―7で勝利し、1974年以来となる47年ぶり2度目の優勝を決めた。花園へは初出場。読谷は前半から主導権を握ってゲームを支配し、26点を奪った。後半はコザの粘り強い攻めで7点を失ったが、その後もトライを重ねて圧倒した。読谷は12月27日に東大阪市の花園ラグビー場で開幕する全国大会へ初出場する。組み合わせ抽選は12月4日。

止まらぬ勢い コザを圧倒

 読谷が創部50年の節目で新たな歴史を刻んだ。2度目の県大会制覇、悲願の花園行きを決めた。

 CTB松尾息吹が獅子奮迅の活躍を見せた。8分、自陣中央から右へ右へとパスをつないで展開すると、巧みな切り返しで中央の松尾へ球を託した。松尾はそこから勢いに乗って突進しつつ、軽やかなステップで防御を次々とかわし華麗にトライ。「フィジカルでは誰にも負けない自信がある。その強みを出せた」と持ち味を出し切った。後半にも独走でトライを奪い、突破力の高さを見せつけた。

 前半終盤には攻め込まれてからのカウンターが光った。山原穏聖が自陣から長距離を走り抜け、波平寛太へ。最後はパスを受けた勝連悠陽がしっかり運んでトライ。前半で点差を引き離し、後半も点を積み重ねて圧倒した。

 名護にコンバージョンの2点差で敗れた昨年の決勝。FWの波平はサイドを抜かれて最後のトライを奪われたという。「この1年、そのシーンがよく夢に出てきた。今日の勝利で先輩たちにも顔向けできるし、悪い夢をもう見ないで済む」と表情が緩んだ。小学校からの経験者も多い中、チーム一の元気印は高校からの競技開始組。「周りのみんなが一からラグビーを教えてくれた。恩返しができた」と仲間への感謝の思いを口にした。
 (大城三太)

コザ、後半意地のトライ

読谷―コザ 後半、読谷の圧力に一歩も引かないコザのディフェンスライン

 意地のトライだった。後半13分。コザは敵陣ゴールライン手前で粘り強く何度も攻撃を仕掛けた。激しい攻防の中、LO宮城陽向の足元にボールが転がる。「行け」。味方の声に背を押され、壁をかいくぐるようにしてボールをねじ込むと叫び声を上げた。

 「自信になる一本だった」(安里音鳳主将)。チームは再び活気を取り戻し、勢いのある読谷に対抗。固い守りで失点を防ぐ場面もあった。大差はついたが3年の宮城は「ちゃんと得点できたのは大きい。必ず次につながる」と後輩たちにバトンを渡した。

 読谷にはフィジカルやボール回し、巧みなキックなど力の差を見せつけられた。安里主将は「うまかった」と素直に力不足を認める。2年生が主体で「ポテンシャルはある。この経験を糧に、悔しさを晴らしてほしい」と期待した。

読谷 74年に初V 花園は南九州勝利が条件

 読谷は1974年大会(県予選)で初優勝しているが、花園出場は今回が初めてだ。

 沖縄で全国大会県予選が開催されたのは復帰翌年の1973年、53回大会予選から。当時は沖縄勢が花園への切符を手にするためには、南九州地区予選で鹿児島代表に勝つことが条件だった。73年の決勝は豊見城がコザに勝利し、南九州で敗れた。

 74年の読谷は鹿児島・宮之城(現薩摩中央)に0―46で敗れ、聖地でのプレーはかなわなかった。84年の64回大会以降は各県出場方式となった。

 県ラグビーフットボール協会は、読谷のほか、コザや宜野座などを率いた安座間良勝氏から記録提供を受け、これまで空白になっていた73年、74年の決勝成績を大会記録に追記した。