【深掘り】那覇軍港はオスプレイの訓練区域に含まれないのになぜ飛来?


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ローターなどを折りたたんだ状態で駐機中の米軍のMV22オスプレイ(手前)と停泊中の「GREEN LAKE」=22日午後5時40分、那覇軍港

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)に19、20の両日、相次いで普天間飛行場所属機が飛来した。海兵隊は「頻繁にはしない」と説明しているものの、県民の不安を招いた。万が一、常態化すれば、騒音環境が変わる可能性もある。米軍基地内は米軍が使いたいように使うことができ、周辺住民の居住環境や安心・安全は後回しとなる、日米地位協定の問題が改めて露呈した。

 県が配備そのものに反対している垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが那覇軍港に着陸した際、玉城デニー知事や城間幹子那覇市長は抗議声明を出した。前日に普天間飛行場内で物資のつり下げ訓練をしたばかりだった。県関係者は「見せつけているかのようだ」とため息をついた。

 沖縄の日本復帰時に在沖米軍施設の使用条件などを定めた「5・15メモ」で、那覇軍港の「使用主目的」は「港湾施設と貯油所」と記されている。県は、5・15メモの記載を引き合いに那覇軍港への着陸を問題視した。これに対し、沖縄防衛局は「同施設の使用の主たる目的を定めたものだ。航空機の着陸を排除していない」と否定した。

 那覇軍港は、オスプレイの沖縄配備前の2012年に米軍がまとめた「環境レビュー」でも、訓練区域に含まれていない。それでも、防衛局が米軍の行動を正当化する根拠は、提供施設・区域内の排他的管理権を米側に認めた日米地位協定3条にある。

 琉球大の山本章子准教授(国際政治史)は「地位協定上、基地内の運用に日本側が関与できない」と説明する。その上で、台湾有事の可能性を見据えて訓練が活発化しているとし、今回の着陸についても「有事に使うことを想定して那覇軍港を使った可能性も否定できない」と分析する。「これまでなかった新たな運用が出てくると、県民の不安は増大する」と指摘した。

(明真南斗)