重量挙げ糸数、王者の風格 2位に7キロ差 格の違い見せつけ 全日本選手権


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 重量挙げの全日本選手権第2~3日は21、22の両日、新潟県津南町のニュー・グリーンピア津南体育館で行われ、67キロ級の糸数陽一(豊見城高―日大出、警視庁)が7度目の大会制覇を果たした。男子89キロ級では平仲浩也(南部工高―法政大出、警視庁)がトータル316キロで3位、金城優人(南部工高―金沢学院大出、警視庁)はトータル296キロで7位。女子59キロ級の大湾ゆみか(豊見城南高―日体大)はトータル171キロで8位だった。


 

2回目のジャークで160キロを成功させる糸数陽一=21日、新潟県のニュー・グリーンピア津南体育館(普久原裕南首都圏通信員撮影)

 わずか2キロ差で逃した東京五輪でのメダル。獲得に全霊を注いできた糸数陽一の落胆は大きかったが家族や同僚、仲間からは「まだまだいけるよ」「ゆっくりゆっくり、戻していけばいい」といった温かいエールを受け、競技に再び向き合う気力を得た。

 五輪明けの初実戦となった全日本。何度も強調したのは「楽しむ」こと。「この競技が大好き」との思いを一層強くしていた。

 コンディション調整を第一に、ハードな減量を避けるため本来の61キロ級から一つ上げて67キロ級を選び、重量設定もけがのリスクを最小限にするため、慎重を期した。それでも2位に7キロ差で日本一をつかみ、格の違いを見せつけた。

 ここから始まる新たな挑戦。3年後のパリに向けて「若い子たちに負けないようにしたい。やれるんだぞという、背中を見せたい」と意欲を見せる。

 記者団からウチナーグチで意欲や思いを、とリクエストを受けた糸数。「すぐに思い付かない。少し考えていいですか」と5分ほど間を置いた後、「にふぇーでーびる。無難ですかね。みんなへの感謝です」とはにかんだ。

 (普久原裕南首都圏通信員)


一から鍛え直したい 男子89キロ級3位・平仲
 

男子89キロ級で3位に入った平仲浩也(日本ウエイトリフティング協会提供)

 男子89キロ級の平仲浩也は表彰台に上がったが、有力選手が不在の中での3位に「今までで一番悔しい」と声を落とした。誤算はスナッチ。自己ベストより7キロ低い143キロを2回連続で失敗した。3回目で成功したが「そこから流れが崩れた」と振り返る。

 ジャーク1回目で173キロを挙げたが、優勝を狙うために2回目の申告を182キロまで一気に上げざるを得なくなった。結果は3回目も含め失敗。「その重量をやらないと勝てない状況を自分でつくってしまった」と唇をかむ。「また一から鍛え直したい」と心身の成長を誓った。