【深掘り】起こり続ける落下事故…米軍、日本政府、県の対応は?オスプレイ水筒落下


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
市街地上空を飛行するMV22オスプレイ=24日午後3時25分ごろ、宜野湾市嘉数

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイから水筒が落下する事故が23日、起きた。現場は車両や人の通行も多い住宅街だ。「人命にも関わる重大事故」(松川正則宜野湾市長)につながりかねない事態だったが、在沖米海兵隊は自ら公表せず、沖縄防衛局から問い合わせを受けてから認めた。米軍機は24日も通常通り飛行を続けており、県民の安全を軽視する米軍の意識が改めて露呈した。市街地に囲まれた普天間飛行場の全面返還が合意されて25年余り。周辺住民の不安と負担は限界を超えている。

 ■隔たり

 オスプレイが水筒を落下させたのは23日午後6時45分ごろだが、県民に知らされたのは半日以上、経過した24日午前だ。沖縄防衛局にも当初は米軍から通報はなく、地元の宜野湾市の連絡を受けて米軍に問い合わせた。

 普天間飛行場では24日、事故がなかったかのようにオスプレイやヘリが離着陸を繰り返した。県警の現場調査中も、4年前に普天間第二小などへ部品を落とした機種であるCH53E大型ヘリが上空を通過した。

 在沖米海兵隊は今回の事故を受け、「航空機に関連する事案を深刻に受け止め、事故の原因を検証する」とし、再発防止に向け隊員教育を実施していると説明した。ただ、これまでも「教育」後に事故は起こり続けている。台湾有事を見据えて訓練を活発化させる中、訓練優先で住民の安全を軽視する米軍の姿勢と、県民との意識には、大きな隔たりがある。

 ■消極的

 県や宜野湾市、各議会は、事故のたびに市街地の真ん中に位置する普天間飛行場の危険性を訴え、早期除去を強く求めてきた。

 政府は普天間飛行場の危険性除去には「普天間飛行場を辺野古に移設することが唯一の解決策」と名護市辺野古の新基地建設を推し進める。

 だが、政府は目前の危険回避には消極的だ。24日の会見で、松野博一官房長官は今回の事故を受け、米軍に抗議するかどうかは「調査結果に基づいて適切に対応する」と述べるにとどめた。政府は18日に同飛行場で行われたつり下げ訓練を追認するなど、周辺住民が直面し続けている危険性を放置している格好だ。

 玉城デニー知事は24日、報道陣の取材に応じた際、辺野古移設が普天間飛行場の一日も早い危険性除去策か問われ、「つながらない」ときっぱり否定。「事故・事件がまたいつ起こるか分からない危険な状態だ」と指摘した。

 玉城県政は、早期の危険性除去のためにも辺野古移設を阻止する考えだ。移設は政府の計画通りでも12年はかかる見通しだ。玉城知事は、沖縄防衛局が埋め立てる海域に広がる軟弱地盤を改良するため、県に申請している設計変更について不承認とする構えだ。
 (明真南斗)