かりゆし58、1年8カ月越しのツアーファイナルで新境地 ドラム中村5年ぶり復帰


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
メンバー全員がそろい再出発となるツアー最終の沖縄公演。ファンに15年の活動を感謝し、力強く歌う前川真悟(ボーカル・ベース)=21日、沖縄市のミュージックタウン音市場

 県出身のロックバンド、かりゆし58の全国ツアーの最終となる「ハイサイロード2021―バンドワゴン―沖縄公演」が21日、沖縄市のミュージックタウン音市場であった。昨年3月からの延期公演。メンバー全員がそろった再出発となるツアー最終公演を沖縄で迎え、県内外からファンが訪れた。デビュー曲や代表曲、新曲など計20曲を披露し、かりゆし58の新境地を感じさせる多彩な楽曲でファイナルを盛り上げた。

 沖縄公演は予定していた昨年3月から約1年8カ月を経て実施された。昨年、休養していた中村洋貴(ドラム)が約5年ぶりに復帰。中村の代わりにサポートを務めている柳原和也(ドラム)も含めて、前川真悟(ボーカル・ベース)、新屋行裕(ギター)、宮平直樹(同)のメンバー全員が出演し、前川は「(洋貴が休養していた期間の)6年8カ月の思いが宿っている」とライブの思いを語った。

 ライブは今年2月に配信したデビュー15周年を記念したEP「Heart Beat」収録曲から、人と人との心の結びつきを優しく歌う「掌(てのひら)」を皮切りに、前川がファンであるネーネーズへ提供した楽曲をセルフカバーした「千惚り万惚り」などを披露。沖縄音階にロック、レゲエなどを織り交ぜた独自のバンドサウンドで引き込んでいった。

最終公演を終え、手をつないでファンにあいさつするかりゆし58の(左から)柳原和也、宮平直樹、中村洋貴、前川真悟、新屋行裕

 前川は「1年8カ月をかけてやっとたどり着いたファイナル公演。本当にいろんなことがあったからこそバンド15年の歴史の中で一番に見てほしかったライブの一つ。そしていろんなお帰りがある」と洋貴にねぎらいの言葉をかけ「カケラ」を歌った。

 前川の両親を舞台に迎えて、バンドのアコースティックの演奏に乗せて「Unity―結仁庭―」を親子3人が優しく歌い上げ会場から大きな拍手が沸いた。続けて「ちょっとした恩返しにしたい」と「アンマー」を力強く披露した。終盤は、5人それぞれがメインボーカルを務める「バンドワゴン―5seats―」や、デビュー曲の「恋人よ」、新屋と中村の2人が歌う「Endroll」などを披露し、トリは「オワリはじまり」をゆったりと歌った。アンコールに「さよなら」を披露した5人は、手をつないでファンに深々とおじぎして笑顔で終演した。
 (田中芳)