さすがをさがす 大城讓次・島尻教育研究所所長<未来へいっぽにほ>


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大城讓次(島尻教育研究所所長)

 初めての学校便り。情報収集等に不安を抱えたまま、やや見切り発車的に記事を書き出した。その後、校内でのさまざまな出来事を伝えるために、生徒や教職員の活動を改めて振り返った。

 ある日、生徒会役員のあいさつ文を見た時、その内容に「さすが」と感心した。原稿の所々に「リラックス!」「明るく」「ゆっくり」など、話し方についてのメモが書き込まれていた。その生徒は、この準備をした上で、原稿を見ずにあいさつをこなしたのである。

 またある日。体育館での校内健診の待ち時間中に、生徒たちが本を持ち込んで読書をしていた。静かにさせるという管理的発想や、単に読書量を増やすという観点だけにとどまらない教師の取り組みだ。騒がしくならないよう、生徒管理に心を砕く先生方の姿が当たり前であった私にとって、目からうろこの光景だった。生徒が整然と読書する体育館には校医の発する声だけが響き、心地よい学びの空間を見ることができた。体育館移動後の教室にはジャージーがきれいにたたんで置かれていた。廊下には靴がきれいにそろえて並べられていたことも印象的であった。

 これらの件をヒントに、私は見出しの企画「さすがをさがす」を思いつき、以後、この見方・考え方により、子どもたちや先生方の「いいこと探し」を続けている。

 子どもたちの良さを探し続けている先生方や関係者にエールを送ると同時に、子どもたちに行動制限など「心のブレーキ」が掛かりかねないこの災禍の中、その現状にどのように向き合うか思案し、実践する必要がある。